ヒアリの女王の発見で、フマキラーの株価が高騰したワケ(後)
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ヒアリの国内確認を受けて、フマキラーでは環境省に協力し研究員を神戸に派遣。緊急防除として同社製品が使用され、その後、新たに発見された特定外来生物の「アカカミアリ」に対しては、同社のアリ対策剤の効果が確認されている。
このようにフマキラーは特定外来生物の確認に対し、商品提供や情報発信など、いち早い対応を行ったため、ヒアリ関連銘柄の本命として株が買われた。
アース製薬がフマキラーの乗っ取りを仕掛ける
国内殺虫剤市場は、1位が大塚製薬グループのアース製薬(株)(東京都千代田区、東証一部上場)、2位が蚊取り線香では断トツの「金鳥(キンチョウ)」ブランドの大日本除虫菊(株)(大阪市、非上場)。フマキラーは国内3位だ。1位のアース製薬の2016年12月期の売上高は1,685億円。フマキラーの4倍の規模だ。
アース製薬によるフマキラーの乗っ取り騒動は、記憶に新しい。アースは08年ごろからフマキラー株を買い増してきた。大株主となったアースは、フマキラーに経営統合を打診した。アースの狙いは、フマキラーの海外販路だ。フマキラーはインドネシアなど世界約80カ国に自社ブランドの殺虫剤を販売、海外売上高比率は20%(当時、17年3月期はさらに46%に高まっている)。海外売上比率が10%にも満たないアースには魅力的だった。
大塚製薬グループというバックを持つアースに吞み込まれることを恐れたフマキラーは、長年友好的なビジネスパートナーであった消臭芳香剤大手エステー(株)(東京都新宿区、東証一部上場)に「ホワイトナイト」(白馬の騎士)を頼んだ。10年6月、エステーが16億円の第三者割当増資を引き受けて、出資比率15.1%の筆頭株主となった。フマキラーの買収防衛策である。
アースはフマキラーの買収を断念。11年3月、保有するフマキラー株(10.5%)すべてをエステーに14億円で売却して撤退した。エステーは出資比率を25.6%に高め、フマキラーを持ち分法適用会社に組み入れた。
フマキラーが14年1月に実施した自己株式の公開買い付けにエステーが応募し、出資比率を引き下げ、持ち分法適用会社でなくなった。ホワイトナイトの役割を果たしたことで、元に戻したわけだ。フマキラーの株主は(17年3月期末)、フマキラー(自社株口)15.6%、エステー10.4%。自社株口が筆頭株主といういびつな資本構成を解消するため、自社株をどこに割り当てるか。フマキラーの今後の大きな経営課題となっている。
(了)
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