外国人が「日本語」を学ぶ理由~ビジネス日本語とは!(前)
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(公財)日本漢字能力検定協会 執行役員・BJT普及部長 高木純夫氏
主要先進国は自国語の普及を対外文化政策面で極めて重視している。英国のブリティッシュ・カウンシル、仏国のアテネ・フランセ、独国のゲーテ・インスティトゥートなどが有名である。また、近年は中国の孔子学院も積極的に海外展開をしている。日本もその例外でなく、外務省と(独)国際交流基金が中心になって「国際交流事業」や「文化その他の分野における国際交流」の一環として「日本語の普及」を行なっている。
一方で、外国人が「日本語」を学ぶ理由は何だろうか。それは、1つは日本文化の持つ側面(近年はマンガ・アニメやJ-POPなど)であり、もう1つは日本語というより日本そのもの(例えば、日本の経済力や科学技術力など)に対する魅力である。主に後者に関係する『BJTビジネス日本語能力テスト』を実施する(公財)日本漢字能力検定協会の高木純夫 執行役員・BJT普及部長に聞いた。
漢検には3歳から101歳まで約204万人が挑戦
――お忙しい中、お時間を賜りありがとうございます。本日はビジネス日本語の普及に関していろいろとお聞きしたいと思います。先ずは、貴協会の事業について簡単に教えていただけますか。
高木純夫氏(以下、高木) 日本漢字能力検定協会は1992年に設立されました。その理念を簡単に申し上げますと「日本語・漢字を学ぶ楽しさを提供し、豊かな社会の実現に貢献する」ことです。当協会は、(1)日本語能力育成活動(2)調査・研究活動(3)普及啓発・支援活動という3つの公益活動を行っています。
このうち、(1)の日本語能力育成活動では、『日本漢字能力検定(漢検)』(主対象は日本人の小・中・高生)、『文章読解・作成能力検定(文章検)』(主対象は日本人の中学・高校・大学生と企業人)と、私が担当する日本語版TOEICとも言われる『BJTビジネス日本語能力テスト』(主対象は国内・外の外国人)の3つを実施しています。
なかでも「漢検」は当協会最大の事業で、漢字能力を測定する技能検定です。漢字を通じて、日本語の奥深さを伝え、漢字を正しく運用する力を育み、養い、確認できる検定として1975年から実施しています。漢字は年齢に関係なく学べる身近な学習対象であるため現在、年間約204万人、3歳~101歳という幅広い年齢層の方に挑戦いただいています。
漢検の受検方法は個人受検と団体受検がありますが、個人受検は全国の主要都市約180ヵ所に設けられた公開会場で年3回受検できます。団体受検は志願者を一定以上集めた学校や企業からまとめて申し込みを受け、それぞれの団体を会場にして受検していただきます。年に約13回実施しています。
コンピュータで検定を行う「漢検CBT(Computer Based Testing)」は、2002年から開始しています。今年7月からは、全国47の都道府県で実施できるようになりました。
記述問題にも対応可能なタブレット方式を採用し、従来の検定と同じ資格が取得可能です。これは、忙しい人でも、通常の検定日に限定されず、自分の都合の良い日を選んで受検できる点に特徴があります。現在、約2万人の方がこのCBT受検をしています。
普及活動の1つ「今年の漢字」は年末の風物詩
(3)の普及啓発・支援活動ですが、先ず1つ目は読者の皆さんもよくご存知で年末の風物詩にもなっている「今年の漢字」です。全国からその年の世相を表す漢字を公募し、その応募数が1番多い漢字を清水寺の森清範貫主の揮毫により発表しています。漢字の持つ素晴らしさや奥深い意義を伝えるための啓発活動の一環として始まり、2016年で22回目を迎えました。(2016年の今年の漢字は「金」)
2つ目は、昨年6月29日に「漢字ミュージアム」(京都市東山区祇園町南側551番地)を完成させたことです。これは日本における漢字文化を世界へ発信する施設です。あらゆる世代が漢字の「面白さ」、「楽しさ」、「奥深さ」を感じることのできる体験型ミュージアムになっています。昨年6月開館以来、年間10万人の方に来場いただきました。
3つ目は「日中韓共同常用808漢字」プロジェクトです。これは、「日中韓賢人会議」の席で、韓国の代表から提案(韓国ではハングルの普及に伴って、多くの国民が、知識人を含めて漢字を忘れていく傾向にあるので)されたものです。当協会もこの提案に積極的に協力、今808漢字を使った熟語集を作成する動きが進んでいます。
(つづく)
【金木 亮憲】<プロフィール>
高木 純夫(たかぎ・すみお)
1949年 神戸生まれ。1973年 神戸大学経営学部卒業後、伊藤忠商事に入社。75年中国語研修生として台湾に留学。87年北京事務所 機械部長、93年~95年 東京本社(中国化工プロジェクト室長~アジア・中国・大洋州室 室長代行)99年台湾伊藤忠商事有限公司 副総経理(台北)、2002年NGK環保陶瓷有限公司 副総経理(蘇州)、04年伊藤忠商事 瀋陽事務所長兼哈爾濱事務所長(瀋陽)、11年帰国して(公社)関西経済連合会国際部に出向。13年に(公財)日本漢字能力検定協会に転身して現在に至る。関連記事
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