2024年11月22日( 金 )

サムスン電子の副会長、懲役5年の有罪判決(前)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)

 今回のサムスン電子の副会長・李在鎔(イ・ジェヨン)の裁判は、韓国では世紀の裁判と呼ばれ、国内外の注目が集まっていた。

 サムスン電子は、製造業では世界最大の企業の1つであり、韓国経済を支えている主要な企業の1つでもある。韓国では今まで財閥の力は絶大で、財閥は法を犯しても、政権によって守られると思われていた。そのような状況のなかで、サムスングループは財閥中の財閥で、強力な力を持っているため、どのような結果になるのか判決が注目されていた。
 また、過去には2代目で李副会長の父親である李健熙(イ・ゴンヒ)会長は、検察に3度召還されたが、逮捕からは免れたことがある。
 今回は、そのような今までの政経癒着の悪い慣行を断ち切ることができるかどうかということもあって、裁判の行方を韓国の全国民が注目していたのだ。

 8月25日開かれた裁判で、李在鎔副会長には懲役の5年の有罪判決が言い渡された。7日の結審裁判では、特別検察官は今回の犯罪は政経癒着による犯罪で、国民の主権を傷つけ、経済民主化に逆行する行為であるとし、懲役12年の求刑を言い渡していた。
 今回の判決で裁判官は、李被告はグループを引き継ぐ過程で、朴前大統領の協力を期待し、賄賂を提供していたことを認めた。

 では、今回の判決までの流れを振り返ってみよう。

 韓国の特別検察官は李被告を逮捕するため、裁判所に逮捕状を請求したが、最初は証拠が薄いとして棄却された。しかし、特別検察官は証拠などを補強し、逮捕状を再請求。裁判所から逮捕状が発行されたのは、今年の2月であった。
 李被告にかけられた容疑は、賄賂供与、横領、財産国外逃避などの5つの疑い。

 その後、裁判は1週間に3回ずつ、5カ月にわたって進められ、出頭した証人だけでも59人におよんだ。李被告が容疑を全面否認したため、裁判は多くの証人を必要とし、争点は鋭く対立していた。

 この裁判に対し、国民からは「今までの悪い慣行を断ち切って、国を立て直すべきだ」といった意見が出ている反面、マスコミなどサムスングループに多くを依存している側は、「裁判は世論に左右されることを警戒すべきである」「十分な証拠もそろっていないに無理に有罪にしようとしている」など、李被告を擁護する記事を掲載した。

 それでは、今回の裁判の争点は何だったのだろうか。

(つづく)

 
(後)

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