オリンピックのために犠牲を強いるか 東京鉄道駅工事事故
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28日、東京・新宿駅ホームと地下通路に突然煙が立ち込めた。現場は一時騒然とし、山手線・中央総武線などが運転を見合わせるなど影響は拡大した。煙の正体は新宿駅地下で行われていた建設工事中に重機が横転したことによる砂煙だったとのこと。怪我人はなく、運転を見合わせたJR各線も平常通り運転再開した。
この新宿の事件で死傷者が出なかったこと自体は喜ぶべきことだが、どうも最近このような事件を目にする機会が多い。6月18日には、渋谷駅東口のヒカリエ近くで解体中の鉄骨足場が崩れ、重さ15トンの鉄骨が落下。運よく他の構造物に引っかかって地上までは落ちなかったものの、現場はバスターミナルもあり人通りが絶えない場所。万が一のことを考えるとぞっとする。
未曽有の巨大建設プロジェクトである東京オリンピックが近づいているが、スタジアムや関連施設の建設は小池百合子都知事の「朝令暮改」もあって当初のスケジュールから遅れが発生している。もうひとつの巨大プロジェクト、築地市場移設問題も宙に浮いたままだ。
福岡を含めた地方から労働力を吸い上げてまで強行されている東京オリンピック関連施設建設プロジェクトだが、迫りくるタイムリミットを言い訳に安全確認や適正な労働管理を怠っていないか。4月には、新国立競技場工事で現場監督を務めていた23歳の若者が自ら命を絶った。すでに犠牲者は出ている。
国を挙げて狂奔する「国家の祭典」に、はたして人々はバラ色の未来を投影できるのだろうか。
【深水 央】
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