2024年11月28日( 木 )

台湾ITRI来日記念、BBAが意見交換会を開催!(後)

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 10月5日(木)に(一社)ブロードバンド推進協議会(略称:BBA、代表理事:宮内謙 ソフトバンク(株)代表取締役社長兼CEO)はソフトバンク本社において台湾工業技術研究院(ITRI)来日記念「BBA台湾視察報告&ミートアップ」を開催した。BBAとITRI(※)は16年10月にMOU(了解覚書)を結んでちょうど1年になる。本年5月には、BBA視察団が「COMPUTEX Taipei 2017」(5.30‐6.3)の視察を兼ねて訪台、ITRIはじめ台湾の政府機関、情報通信産業、スタートアップ企業を視察し、ベンチャー企業とのマッチングを実施した。

Y5BusはIT専門家にはよく知られているシステム

左から伊澤諒太氏、羅茁文氏

 日本側のプレゼンテーションを受けて、台湾側からも3人が登壇した。
 (1)台湾経済部通信産業発展推進委員会CoCID(プロジェクトマネジャー 蔡淑瑜氏:来日主旨と日本との交流の進捗、日台共同イベントの紹介など)
 (2)Arisan(代表取締役社長 唐睿佑氏:監視カメラサービスシステムについて)
 (3)Y5Bus(CMO 羅茁文氏:Wi-Fiバスについて)

 読者は「Y5Bus」(=「Wi-Fiバス」)のことはご存知であろうか?COMPUTEXに行くIT専門家の間ではかなり前からこのバスのことが知られていた。Y5BusはITRI発ベンチャー企業でCMOの羅氏もITRIに所属している。

 乗客はバスのなかで、無料でWi-Fiを使うことが可能になり、広告代理店(広告主)はターゲットに合った最適情報が提供でき、バス会社はリアルタイムで運行状況の確認、安全管理を行い、かつ顧客満足度を向上させるプラットフォームである。同社は台湾全バス会社16社のうち15社(通勤路線、長距離路線、観光路線など)とすでに契約を交わした。今後はこのシステムを鉄道(列車、新幹線など)へ拡大することを狙っている。

 今回のハタプロとYS5BusとのMOUはこのWi-Fiバスに「ZUKKU」を搭載して機能強化するものである。舞台は台湾の西側に位置するリゾートアイランド「澎湖諸島(ポンフー諸島)」である。Wi-Fiインフラ整備の充実やシェア自転車の設置等の取り組みを行うことによりスマートアイランド化を目指す政府主導のプロジェクトが今ここで動いている。このプロジェクトにハタプロの「ZUKKU」が採択(観光案内所、観光バス、小売・飲食店、宿泊施設などに設置予定)された。

日本は訪日外国人にWi-Fi後進国と言われて久しいが

 プログラムは午後4時30分~午後6時30分で終了。午後6時30分からは日台意見交換・懇親会が持たれた。会場で、Wi-Fiバスのようなシステムが日本の地方自治体でも導入可能かどうかを複数の大学の先生にヒアリングした。いずれも「導入するといいと思うが、現実的には難しいかも知れない」という意見だった。それは、日本の場合、交通機関(バス会社)、広告代理店(広告主)、自治体がすべて縦割りでバラバラに動いており「乗客のために」というお題目だけでは統制がとれないからである。しかし、訪日外国人に「日本はWi-Fi後進国。ほんとうにIT国家?」と言われて久しい。何とか、改善へ向かう手立てはないのだろうか。

(了)
【金木 亮憲】

※工業技術研究院(ITRI):1973年に設立された世界的な研究機構で研究者が約6,000人在籍する。科学技術の研究開発により、産業発展と経済価値を創造し、社会福祉を促進することがミッション。特許取得件数は2万件を超え、また260社に及ぶベンチャー企業を育成。近年は、とくにオープンラボやインキュベーションセンターを設置し、積極的にベンチャー企業や新たなハイテク産業の育成を加速している。

 
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