2024年12月22日( 日 )

元「鉄人」衣笠氏が斬る!~「打高投低」今年の甲子園を振り返る(後)

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 確かに野球というゲームは始まった頃には「打つ」ゲームでした。でも近代野球になると守りがいかに大切か?ここに焦点が集まり投手中心の「守り」を大切にするようになりました。「勝つ」為です。普通に1点を取るにはヒットを3本打たなければ取れませんが、エラーで1点を失うことは簡単です。

 正確な捕球、正確な送球、簡単な言葉で、簡単そうに見えますが、緊張した場面でこれを正確に行う事がどれほど大切か、難しいか?経験してきました。日本シリーズの緊迫した場面でこの事が理解できるでしょう。普段いい加減にプレーしていればこの場面での緊張感に潰され体が動かなくなりエラーにつながるという事が十分に考えられます。これを防ぐには学校の毎日の練習初めに行うキャッチボールをいかに大切に行うか、ノックのボールをいかに正確に捕球することに集中するか、この繰り返ししかないと思います。

 これを繰り返すことによりある日突然守備の楽しさが見えてくることと思います。それはその後のその選手の大きな財産になることでしょう。

 大学野球でも社会人野球もプロ野球に行ってもレギラーになる近道は守備がしっかりとしていることです。どのチームの監督さんに聞いても同じ答えを言うでしょう。守備の不安定な選手を使っているほど心配なことはないのですから気にする筈です。

 ここ最近高校からプロに入った選手で、特に内野手の多くが外野手にポジションを変更させられています。恐らく高校時代に守備の基礎基本を練習していないために、試合に使うとなるとどうしても「外野手に変更しなくてはならない」と監督、コーチが判断するのでしょう。これでは素晴らしい内野手が育つ確率が少なくなります。是非高校時代にしっかりとした守備の基礎基本を練習して、プロでも通用するだけのレベルまで頑張って欲しいものです。

 私の考えるところでは、小学校、中学校時点で少なくても守備の基本、ボールを投げる正しいボールの握り方、投げ方、ボールを取る時の正しい体の型をマスターして、高校時代に打球のスピードに慣れることによって、安定した守備力が身につくことでしょう。

 野球の中で、打つことは楽しく、目立ちます。しかし守備や走塁はその選手の努力を見せてくれているように感じる事が出来ると思います。ぜひこのことを大切にして、これからも野球に取り組んで欲しいと思った99回甲子園大会でした。

(了)

2017年10月25日
衣笠 祥雄

 
(前)

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