産廃処分場を巡る裁判で見えてきた壮絶な騙し合い(3)
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福岡市博多区金隈にある産廃処分場運営の(株)和幸商会(本社:福岡市博多区、箭内伊和男代表)で起こったサニックス創業メンバー箭内氏による会社の「乗っ取り」は既報の通りだ。取材の過程で判明していたのは、同処分場の不可解な不動産取引だった。そして、今回、同不動産をめぐる裁判を通じて、処分場売却の真相が見えてきた。
思わぬ誤算?
計画は実行されていった。2016年9月20日、三神エンバイロメントエネルギー(以下、三神)が設立された。Y氏の主張では、Y氏本人が全額出資したとしている。同月26日、日本メンテナンスが保有していた和幸商会とクリーン金隈の株式を三神が買い上げた。
同じころ、U嶋氏がU原氏の信用に関わる噂を聞きつけ、今後のトラブルを避けるために、土地の所有名義を自身に変更することにした。固定資産評価額の270万円で土地一式を売買したことになっているが、金銭のやり取りはしていない。スキームはほとんど完成した。経営権は新会社を立ち上げた3人が持ち、あとは産廃ビジネスがうまく回りさえすれば、大金が転がってくる。
しかし、和幸商会の仕事は増えなかった。16年11月、さらに和幸商会の資金繰りは窮した。U嶋氏は三神を経由させて、和幸商会に資金を回した。総額3,000万円になろうとしていた。さらに予想外の出来事が起きる。発起人のO氏が巨額詐欺事件で逮捕されたのだ。O氏の力も頼りにしていたU嶋氏はこのビジネスを見切ったかのように、それまで注入した資金を回収し始めた。和幸商会の売却も検討していた。
その矢先、年を越えて状況は好転し始める。和幸商会が15カ月にわたり、月に約2,000万円の売上が見込める大口取引が決まったのだった。熊本の震災がれきの受け入れが、地元では間に合わなくなり、地元産廃業者が受け入れできる処分場を探していたのである。
この朗報を聞いたU嶋氏の態度は一変する。産廃ビジネスから手を引こうとしていたU嶋氏は、事業に復帰。さらには、「発起人3人を受け皿にする約束だったのに」と主張し、新設した三神の株式をY氏だけが持っていることに反発し始めた。U嶋氏およびO氏は「自らも出資した」と主張している部分においてY氏の主張と食い違う。
そして、U嶋氏は行動に出る。Y氏に対し、「処分場の土地は自分個人の持ち物。営業を続けたいなら、私との間で、土地利用の契約を交わせ、もしくは5億円で買い取れ」と主張し、拒むなら産廃の搬入を禁止するとした。
同月26日には、何者かが処分場入口ゲートを施錠し、入場できない状況になっていた。その間、受け入れ予定としていた仕事も行えず、困ったY氏は3月3日に、妨害行為をやめさせ、転売を防止するため、U嶋氏に対し、処分禁止の仮処分を申し立てた。
(つづく)
【東城 洋平】▼関連リンク
・会社を乗っ取った元サニックス創業メンバー(前)~頓挫した廃プラ事業※クリックで拡大
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