2024年11月22日( 金 )

【緊急寄稿】建設業界と行政機関、総ぐるみの偽装問題(3)

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協同組合 建築構造調査機構 理事長 仲盛 昭二 氏

建物の所有者自らが、行政庁や設計事務所に対して質問をぶつけるべき

 最近、我が国を代表する一流企業による不祥事が相次いでいます。建築構造設計という、極めて専門性の高い分野においても、日本を代表する設計事務所の不正が発覚しています。しかし、その不正を指摘し、正そうとする構造設計の同業者はなかなか現れません。声を上げることにより、我が身に火の粉が降りかかり、自らの仕事に影響が生じることを恐れているのです。

 構造計算の不正は、そのまま建物の耐震強度不足を招き、地震時の人的被害に結びつく恐れがあります。構造設計者として、それを知りながらも口をつぐむことは、不誠実で非人道的な恥ずかしいことです。

 だれも声を上げる者がいない以上、私は、長年構造設計に携わってきた者として、あえて、ここで声を上げ、不正を正していきたいと思います。建築設計業界・行政・JSCA・国交省から疎まれることは覚悟のうえです。

 しかしながら1人の力で行政を動かすことには限界があります。私の考えに少しでも共鳴される建物所有者の方が居られるならば、建物を設計した設計事務所および建築確認を担当した行政庁に対して、下記の内容のうちどれか1つだけでも結構ですので、質問してみてください。

 これらの質問に関して、担当した設計事務所や行政庁が問題点を調べることは難しい作業ではなく、構造計算書や図面を見れば容易に判明することであり、時間を要することではありません。しかし、設計事務所や行政庁、マンション販売業者は、正しい回答をすることは自らの非を認めることになるので、答えに窮するはずです。

 私は、福岡市や福岡県や東京都、日建設計などに、同様の質問をぶつけましたが、返って来たのは不誠実で不真面目な逃げに徹した回答だけであり、適切な回答は得られませんでした。行政庁も設計事務所も、法的・技術的に回答することができないのです。不正な設計が横行し、行政が黙認していた事実は、現役の構造技術者に尋ねれば、誰もが認めざるを得ないでしょう。行政庁は、担当者が数年で異動するので、担当者レベルでは回答から逃げ切れるかも知れませんが、不正な設計を見逃がしたのは行政庁ですから、市民の立場として、毅然とした態度で臨まれると良いと思います。公共建築物である福岡市営住宅においても、不正な設計が判明しているので、現在、そのことで福岡市に問い合わせをしています。

(つづく)

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