保育園がなくなる~経営判断と届かぬ母の声
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「新しい保育園を探せといわれても、どこでもいいわけではないんですから」。
ある企業が保育園事業から撤退する。同社運営の保育園に息子を預けているA子は頭を抱える。A子はシングルマザー。自身経営者として働くA子が同保育園を選んだ理由は、土曜・日曜日でも息子を預けられるからだ。
許可外保育園だからこそ提供できる保育サービスは、A子のような働く母親たちにとってありがたい存在だが、経営を手がける企業側は、新たな収益基盤となるのかの見極めを行わなければならない。
同保育園の経営を手がける企業は、目標としていた数値(利用者数、営業利益額)に届かず、今後も回復の見込みがないため保育事業からの撤退を決断した。「閉園を聞かされて、その後どうなるのか保育士の方に聞いてみると、『別の保育園が居抜きで入るかもしれません』と曖昧な答え。こちらは投げ出される格好になるわけですから、変に期待をもたせるような返答はやめて欲しいです」(A子)
働く母親であるA子が保育園に求める条件は(1)職場との距離、(2)何時まで預けられるのか、(3)保育園の規模。この3条件すべてを満たす保育園をまたゼロから探すとなれば、相応の時間と労力がかかる。仮に見つけたとしても、入園待ちとなるケースは珍しくない(福岡市の待機児童数は2017年4月時点で89名。未入所児童数は1,812名で、過去最多となった)。
企業の経営判断に、末端の一利用者でしかない母親の声は届かない。
A子は「複数ある保育園を1ヶ所に統合して続けるとか、保育事業に意欲的だったり興味を持っている企業に事業譲渡を打診するとか、本当にあらゆる手を考えてくれたんでしょうかね。地域密着をアピールされるんなら、『やめます。あとはご勝手に』ではなく、アフターフォローまで気を配って欲しかったです」と、ため息混じりに話していた。【島野 元太郎】
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