2024年12月22日( 日 )

技術を武器に「脱・下請」図る

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 建設業はゼネコンを頂点とするピラミッド構造である。下請工事を請け負う専門工事と一口にいっても、業種は多岐にわたる。杭、型枠、鉄筋、電気、内装、屋根など建設業法上は約30の業種がある。

 どんな小さな建物であっても、それぞれをその道のプロが担当し、1つの作品を完成させる。人手不足の今、仕事を請けてくれる下請業者を離すまいと、ゼネコンは協力業者との関係を良好に保つことが求められる。一方で、条件のいいゼネコンの下で働きたいという下請業者がいても不思議ではない。下請業者が元請を選ぶ時代なのである。

 「いつまでも下請工事だけでは、し烈な競争に勝てない」――専門工事業者のなかには、これまで培った技術力を生かして、元請建築工事業へシフトする動きもみられる。

 A社は躯体専門工事歴30余年。これまでの実績が評価され、現在も多くのゼネコンから仕事が舞い込んでいる。それでも専門技術を生かした戸建住宅事業を数年前から開始。同事業は躯体工事と肩を並べるほどの事業に成長してきており、手ごたえを感じている。

 B社も同様だ。数年前までは大手住宅メーカーの外装工事が専門だった。低価格を売りにしていた特定の1社への依存度が高く、実入りは少ない。その状況を打破すべく、自社ブランドを立ち上げ、こちらも戸建住宅建築を手がけるようになった。独自にイベントを展開し、受注は増えてきている。

 職人を抱えるため、下請専門工事から完全に脱却することは考えていないが、いずれも「脱・下請」への動きに違いない。異業種参入も1つの手だが、培ってきた技術が生かせる分野なら、成功の可能性は高い。

【東城 洋平】

 

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