2024年11月05日( 火 )

優良施工業者 福岡市発注工事での事故隠蔽が発覚

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 2017年末に福岡市が公表した市発注工事への入札参加停止措置。対象となったのは佐賀市に本社を置き、九州一円で建設用金属の製造や設置を手がける(株)協和製作所(藤井道博代表)で、停止期間は12月12日から4カ月間であった。指名停止となったのは、福岡市発注工事で事故を起こしたうえに、それを市に報告しなかったためだが、単なる報告ミスではなかった。
 一般的には知られていないが、同社は水門や橋梁などの金属製品の製造設置においては、佐賀県内でトップクラス。14年9月期には、売上高約23億6,800万円、当期利益で2億円を超える実績を残している。国交省からの受注も多く、近年は毎年のように優良施工業者として表彰を受けている。

 同社が落札した福岡市発注工事の内容は以下。

契約件名:西区元浜3丁目地内 沖田上井堰改良工事
工  期:2015年11月7日から2016年2月14日
契約金額:216万円
発注者:農林水産局農林部農業施設課

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 施工中に事故は起きた。2016年2月4日、約60kgの鉄板取付作業で作業員が持ち上げた際に手を滑らせて、右足指を骨折したというもの。事故が起きた場合は速やかに市の担当者に連絡し、関係各所へ報告することが求められるが、同社が福岡市へ報告することはなかった。さらに福岡市発注工事での事故ではなく、佐賀県内にある自社工場内で起きた事故だとして、佐賀労働基準監督署に偽の報告書を提出していたのだ。事故は起きたが、あくまで自社工場内での事故として処理された。公共工事での事故とは大きく異なる。報告書を偽り、大きな問題にはならなかった。

 ところが第三者の情報提供により佐賀労働基準監督署が昨年7月に調査に入った。調査の結果、同社が偽の事故報告書を提出していたことが判明した。事故は工場内ではなく、福岡市発注工事の現場で起きていたことが確認された。偽った報告書を提出したとして、同社と同社代表は同年11月10日、佐賀地方検察庁へ送致されている。

 事故発生も福岡市監督員への通報、事故報告書の提出がなく、報告義務を怠ったとして、今回の措置を受けるに至った。今回発覚した事件について、福岡市財務局は「公共工事での事故ですぐに指名停止になるわけではない。適切な安全措置を施しても、事故は起きる。事故発生直後に適正な措置を取っていれば、今回のような指名停止にならなかった可能性もある」と話している。

【東城 洋平】

 

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