収入は1,400億円 「法人」九州大学の横顔
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2018年中に伊都キャンパスへの完全移転を終え、新たなスタートを切る九州大学。Net-IB NEWSでも既報の通り、箱崎キャンパス跡地の売却による収入は1,900億円を上回る可能性もある。
では、そもそも法人としての九州大学の収支は、どのようになっているのだろうか。九大を含めた国立大学法人は、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表を公開している。このうち、九大が公開している最新の決算報告書、2016事業年度(16年4月1日~17年3月31日)分を見てみよう。
収入の項目は、大きく「運営費交付金」「自己収入」「産学連携など研究収入および寄付金収入など(以下、研究収入)」に分かれる。運営費交付金は、国から交付される資金。自己収入には、附属病院による収入や授業料、入学料などが含まれる。
支出の項目は、「業務費」「施設整備費」「産学連携など研究経費および寄付金事業費など」に分かれている。業務費には、教職員の人件費や研究経費、大学病院の診療経費なども含まれている。
平成28事業年度、九州大学の収入合計は1,450億3,000万円、支出合計は1,393億100万円。差し引き57億2,900万円の黒字となっている。予算の段階では支出・収入とも1,396億1,700万円で差し引きゼロ。収入が150億円以上増えた計算だが、目立つのは産学連携の強化に務めた結果として、研究収入が14億3,000万円増えたこと。九大は「学術研究・産学連携本部(AiRIMaQ)」を設け、積極的に産学連携を進めている。また、九大関連会社の(株)産学連携機構九州も、産学官連携のハブとして有効に機能している。さて、ここで気になるのが冒頭でも触れた伊都キャンパス移転と箱崎キャンパス売却。国立大学法人として、運営費交付金だけに頼れない立場の九大にとっては、箱崎キャンパスの売却を確実に進め、伊都キャンパス移転のための費用を捻出する必要がある。箱崎キャンパス跡地の42.6haという規模は、福岡都市圏に残された数少ない大規模開発の適地。虎視眈々と狙っている向きは数多い。実際に1,900億円を超える売却金額となれば、九大の年間収入を大きく上回る収入となる。
「武家の商法」ならぬ「学究の商法」とならず、ビジネスチャンスを生かし切れるか。【深水 央】
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