糸島市長選挙討論会~実績強調の現職vs未来を訴える新顔
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今月21日(日)告示・28日(日)投開票の糸島市長選挙を前に、(一社)糸島青年会議所主催の「第3回糸島市長選挙に伴う公開討論会」が13日(土)、伊都文化会館(糸島市前原東2丁目)で開催された。
同討論会では、現職の月形祐二糸島市長と、タレント「スター高橋」としても相応の知名度を誇る高橋徹郎市議会議員がお互いの意見を戦わせた。月形氏が描く糸島の未来図
月形氏が糸島市職員と一丸となって取り組んだのが『ブランド糸島』の実現だ。ブランド糸島とは、糸島の農畜産物だけでなく、「糸島で過ごす時間そのもの」に価値を与えようという試み。
糸島市は東京でもプロモーション活動を展開し、糸島の幸は三越・伊勢丹・松坂屋、そして高島屋といった有名百貨店でも取り扱われた。積極的な情報発信は実を結び、市外からの転入者は増加基調で推移。2017年12月末現在、糸島市の人口は10万730人を記録した。
月形氏は「日本全体で人口が減少傾向にある中、糸島市の人口を増加させることができたのは大きな成果だと思います。知の拠点である九州大学・伊都キャンパスとの連携も加速させ、今後も『ブランド糸島』をさらに前進させていきます」と力強く話した。
元気ないとしまを豊かさ実感のいとしまへ
月形氏は、今後のブランド糸島の展開として「関東以北、アジア市場でも糸島の認知度を高めていきたい」と話し、国内・外での広報活動にも尽力していくことを表明。
月形氏のこの旺盛な拡大意欲の根底にあるのは、ブランド糸島の屋台骨ともいえる第一次産業従事者、そして糸島の未来を担う若者への思いだ。
「第一次産業従事者の数は後継者不在の問題もあり、減少傾向にあります。第一次産業従事者の収益を上げ、糸島で生まれ育った若者が、市外へ出ていかず糸島で頑張っていける環境づくりをしていくことが大切です。これはブランド糸島を支える農林水産業の維持・発展のためにも必要なことです」(月形氏)。
月形氏が目指す糸島――それは初当選の頃から変わらず「元気ないとしまを豊かさ実感のいとしまへ」であることがわかる。
高橋氏の描く糸島の未来図
高橋氏が政策として掲げたのは以下の4点。教育費の拡充、(2)雷山に新設予定の運動公園の事業計画見直し、(3)本庁舎の建替え事業計画見直し、(4)玄海原発再稼働反対 である。
高橋氏は、(2)、(3)を通じて、糸島の未来を担う子どもたちへの投資(小・中学校の建替えなど学習環境の改善)を加速させたい考えだ。最大の争点として挙げているのは、(4)。玄海原発が万が一福島原発のように事故を起こして放射性物質を放出すれば、糸島の知名度向上に貢献する糸島の農畜産物が一気にダメになってしまう。また、玄海原発から糸島市まで最速30分で放射性物質が飛来する可能性があり、この限られた時間内で子どもやお年寄りを始め、糸島市民の避難は難しいのではないかと説明している。
食い違う原発政策
「放射能汚染は土砂災害などと違い復興が難しい、どうしようもない問題です。糸島ブランドの農畜産物も汚染される。糸島の未来を担う子どもたちが甲状腺がんに苦しむ可能性もあります。市として明確に玄海原発再稼働に反対を訴えていくべきではないのか。それこそが、子どもたちの未来を守っていく大人の役割ではないか」(高橋氏)。
これに対し月形氏は「どこに対して反対をするのですか」と鋭く切り返し、さらに「(玄海原発の立地自治体ではない)糸島市が再稼働反対を訴えても止まりません。であるならば、市民の生命と財産を最大限守るために、目の前の現実にしっかり対処するのが首長の使命・責任ではないでしょうか。万が一の際、国から15,000人分の安定ヨウ素剤(原子力災害時の放射線障害予防薬として用いられる)が保障されていますが、市では別途10万人分用意します」と現在の取り組みを紹介。玄海原発再稼働に対する両者の意見は割れた。
高橋氏は市政報告会で、糸島の電力需要を自然エネルギーで賄えるようにできればとの思いも語っていた。自然を守り、子どもたちの健やかな未来を築く。持続可能な発展――それが高橋氏が目指す糸島の未来だといえる。
【代 源太朗】
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