波乱模様の経済界(4)~コインランドリー業界 中小企業の牙城にファミマが殴り込み(前)
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コインランドリーが進化している。年明けの日本テレビ(1月11日付)は、神奈川県・葉山町に、洗濯している間にパンとジュースが楽しめるカフェと一体化したコインランドリーを放映した。こうした市場の変化に加え、人手不足時代に適応したビジネスとして参入者が引きも切らない。もともと中小企業の領域だったコインランドリーだが、そこに大資本のコンビニが殴り込んできた。
ファミマが500店出店
コンビニエンス大手ファミリーマートは2017年11月24日、コインランドリー事業に参入すると発表した。駐車場がある店舗を中心に併設店舗を2019年度末までに500店展開し、改装や機器に100億円強を投じるという。
コインランドリー併設店は、ファミマの現有店舗1万8,000店のうち、駐車場がある1万2,000店を中心に展開する。新店や改装店ではコンビニと一体となった店を開く。
まず18年3月に関東地方の2店舗の敷地内にコインランドリーを併設。18年度中に100店、19年度には500店に広げる。
標準型の併設店では、洗濯機や乾燥機を計15台置き、無人で24時間運営する。利用料金は衣服の洗濯で400円前後から。布団4枚を洗濯・乾燥する場合は1,500円程度になる。
なぜ、ファミマはコインランドリーに進出するのか。そこには苦しいお家の事情がある。
2016年9月、ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングスが統合してユニー・ファミリーマートホールディングスが発足。傘下のコンビニは、ファミマがサークルKサンクスを吸収合併した。ファミマは、ユニーの総合スーパーの不振は統合前から分っていたが、コンビニ部門がこれほど弱いとは考えていなかった。サークルKサンクスは極度の業績不振に陥った。ファミマがサークルKサンクスを合併したのは大失敗だった。
ファミマはコンビニ事業の建て直しのために矢継ぎ早に新サービスを発表した。スポーツジムは月々7,900円の24時間営業で、5年間をメドに300店舗を目指す。深夜の人手不足に対応するため、神奈川県では深夜の自販機店舗の実験も始めた。コインランドリー事業はその一環だ。ファミマのコインランドリー500店は、業界最大規模になる見通しだ。
コインランドリーは中小・零細企業による地元密着型ビジネスだったが、大資本のファミマの参入で大波乱が巻き起こることになる。
コインランドリー初の上場企業、WASHハウス
コインランドリー事業の店舗数は業界推定で1万8,000店程度とみられる。これはコンビニ2位のファミマの規模に匹敵する。ここ10年で3割以上増えた。利用者は、かつては自宅に洗濯機をもたない学生や単身者がほとんどだったが、近年は洗濯時間を減らしたい共働きの女性が増えているという。
WASHハウス(宮崎市)は2016年11月22日、コインランドリー業界から初めて東証マザーズに上場した。
WASHハウスの創業者、児玉康孝社長は、1965年宮崎市生まれ。国士舘大学法学部法律学科を卒業、新日本証券(現・みずほ証券)に入社。その後、日本マクドナルドなどの勤務を経て、30歳で宮崎に帰郷。地元の大興不動産に務めた。
2001年に独立。不動産会社のケーディーエーを設立。その半年後に、コインランドリー2店を始めた。コインランドリーが順調だったことから2005年に社名をWASHハウスに変更。コインランドリーのフランチャイズ(FC)運営を始めた。現在、454店(17年9月末時点)を展開する業界最大手だ。
(つづく)
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