建設業の経営者が集まる新年会でのことだ。やはり人手不足や採用の話題が多い。話に花が咲くなか、A社長が始めたのはモンスター社員の話である。
「いやー、先日若いのに逃げられましてね。関東からきたばかりの10代だったが、見込みがあると思ったのに。自分は身寄りがないとか、寂しそうに話してたから、大事に育てようと思って。住宅も、運転免許の費用も会社負担で、それで1カ月ほどで失踪。捜索願を出したら、話が全然違った。親も健在で……」。
促されたようにB社長が呼応する。
「情に流されることはしばしばある。一緒に会社を立ち上げた社員には何度も騙された。事務所のパソコンがなくなっていたことに気づいて、探していたら、挙動不審。問い詰めたら、「質屋に入れた」と白状した。すぐに買い取りに行かせたこともあった。創業の戦友だから、信じて目をつぶった。数カ月後、またパソコンが2台なくなった。自分じゃないと訴えたが、警察を呼ぶ段階で、白状した。再犯だった。信じてやりたかったが……車も新調して、1カ月で廃車にするし」。
採用には相当の費用をかけて、ようやく人材と巡り合うものだが、悲劇も多く聞かれる。経営とは人付き合いの連続。問題なく、順調な会社のほうが珍しい。
【東城 洋平】
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