流通業界の「バイプレイヤー」を目指し~「博多流通研究会」主宰 岩崎洋樹氏
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2月某日、福岡市内のある飲食店で行われた「博多流通研究会」。今回で5回目となる同会では、生協などの小売業の仕入担当者、宅配を含めた通販業、卸売業、食品メーカーの関係者と担当バイヤーなどが集い、和気あいあいと情報交換を行った。この会の主催者は、「フードスタイル35」の岩崎洋樹(39)さん。岩崎さんは大学卒業後、食品メーカーや食品商社で勤務した。生産者とメーカー、卸業者と交流するなかで、自分なりにできることを模索し、35歳で独立を決意。生産者と小売、メーカー、卸を結び付ける機会を増やす目的で3年前、サラリーマン時代に同会の発起人となった。
岩崎さんは昨年7月に独立。現在は、食品卸とEC、ふるさと納税関連を手がけ、“地元企業応援コンサル”として、販路開拓に向けたサポート業務を行っている。同会を立ち上げたきっかけについて岩崎さんは、「生産者は作ることはプロだが、売ることに関しては不得意。メーカー、問屋を経験したなかで、人と人との販路をつなげていきたいと思ったから」と語る。「利害関係なし、強制なし、肩書なし、大手メーカーを呼ばず、地元企業中心」とした入会条件も緩く、同会は現在、50人以上の登録があり、5回目は約30人が集まった。「私自身はメーカー時代に問屋との交渉で(価格面などで)嫌な思いをした経験があった。逆に問屋に就職した時は、メーカーとよい関係でありたいと思った。その分商談では、どこのバイヤーとも本気で意見をぶつけ合った。これにより信頼関係を築くことができ、問屋主導の売場を作ることができた」(岩崎さん)。
小売と生産者を繋ぐバイプレイヤーに
小売業では、冷食を例に挙げれば、ほとんどがNB(ナショナルブランド)メーカーで占められている。どのようにして地場メーカーを食い込ませるか?「資金力、人員力では大手には到底かなわない。そこで私はメーカーさんの底上げのため、さまざまなコーディネートを行っている。一例を挙げれば、九州にしか販路を持たない場合は、関東、関西へ売り込みに行く」。具体的には、大手スーパーの恵方巻のほか、回転寿司の商品提案、北海道リゾート地での商品の企画・提案なども手がけた。全て九州の生産者の食品を使ったものだ。昨年11月には、読売テレビの朝の情報番組で、岩崎さんが手がけたふるさと納税の返礼品(超大盛!国産豚小間切れ 4.5kg(500g×9パック))が取り上げられた。
ビジネスのスタイルは完全成功報酬制であるが、全国各地から岩崎さんのコーディネートに対する問い合わせが増えているという。「食品業界のなかでも地場については、問屋・メーカーともに離職率が高い。私が成功することで、食品に関わる人たちが夢を持てるようにしてもらえれば嬉しい」と、岩崎さんは語る。
テレビドラマではバイプレイヤーは脇役であり、ドラマを盛り上げるための重要人物である。岩崎さんはまさに食品業界のバイプレイヤー。博多流通研究会の輪が1つまた1つと広がることで、陽の目を見ない生産者が脚光を浴びることが期待される。【矢野 寛之】
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