西鉄、100円循環バスを「キャナルシティライン」に衣替え 乗務員不足対策で
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西日本鉄道は26日、福岡市内で「100円循環バスの見直し・最終バス運行時刻の繰り上げについての説明会」を開催した。すでに報道されている、「路線バス減便」について、具体的な説明を行うため。
大きな変更点は2つ。まず、「100円循環バス」のルートを見直す。従来は博多駅から大博通りを通って呉服町から明治通り、天神からキャナルシティへと循環していたが、見直し後はほかのバス路線との重複が多い大博通り~明治通りを経由せず、博多駅~キャナルシティ~天神周辺をループする路線に変更する。料金は100円で据え置き(従来からの福岡都心100円運賃エリアも変更なし)。これによる乗客への影響はないとしている。
さらに、深夜バス(深夜0時以降に始発地を発車する最終バス)の運行時刻を繰り上げる。繰り上げで発車時間が最も早くなるのは筑豊特急(天神~新飯塚駅。深夜0時34分発→23時45分発)。全11便が、それぞれ20分~49分の繰り上げとなる。説明に立った同社の自動車事業本部長・清水信彦氏は、今回の改定について「便の増減などについては、毎年1度行うダイヤ改定と大きく変わらない」と話す。ではなぜ、わざわざ「説明会」を開催したのか。
今回の循環バス見直しと深夜バス繰り上げ運行は、どちらもバス乗務員不足への対策である。高齢化が急速に進むなか、公共交通機関に寄せられる期待は高まるばかりだが、その一方で西鉄のみならずほとんどのバス会社では乗務員が慢性的に不足している。西鉄は、今年2月時点で20人不足しているという。
その原因として清水氏が挙げたのが、バス乗務員は長時間労働を余儀なくされ、時間外勤務や休日出勤も多いという過酷な実情だ。同社は従来21歳以上だった新卒採用枠を高校新卒者まで広げるなどさまざまな採用活動を行ったが、その成果は十分には出ていないという。西鉄は、これまでの契約社員としての採用から正社員採用に切り替え、初任給を上げた。さらに「西鉄バス乗務員の給与は、ほかのバス事業者の乗務員の給与よりも高い」(西鉄担当者)にもかかわらず、それでも欠員を補充できない状態が続いている。老朽化した営業所の建替え、休憩施設の改善、女性乗務員向けの設備の拡充など乗務員の労働環境改善のための手段も講じているが、採用増にはつながっていない。
「運輸業界では宅配業者の人手不足が話題になった。また一方で、飲食業では24時間営業や深夜営業を取りやめたことで、かえってサービス価値の向上につながったケースもある」とした清水氏。バス保有台数では日本有数といわれ、バス業界のリーディングカンパニーである西鉄があえて明かした苦境は、人手不足にあえぐ業界に投じる一石となるのだろうか。
【深水 央】
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