2024年12月26日( 木 )

今、小売業に何が起きているのか チェーンストアの歴史と現在地(14)

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アメリカ・チェーンストア巡り ホールフーズ・規模拡大の問題と先進性の問題(後)

店頭に見える変化・ホールフーズ ワシントンDC Pストリート店

 朝7時から夜10時半まで営業のこの店も、すばらしい売り場である。デリカも充実し、スープを始めデリカテッセンの充実は目を見張る。ちょうど昼時、2階のイートインスペースには地元のタクシードライバーも食事に来ていた。

さまざまなかたちで提供される野菜。鮮度維持、加工、陳列に多くの人的コストを費やして独自性を出す

さすがのホールフーズも店舗数が400を超えたあたりから価格戦略から逃げられなくなった。クオリティーと価格志向が同居する売り場。カットフルーツと価格訴求型PB牛乳

ホールフーズの宅配専用ボックス。コスト的には問題が多いが、本格的に宅配に参入しなければならない事情がある

イートインスペースから見えるカラフルな売り場。食事をしながら食材の購入も考える?

レジ待ちはどこの国でも嫌われる無駄な時間。ホールフーズにも買い上げ点数の少ない顧客用の専用レジがある。屋上駐車場には何台かのタクシー。ドライバーはこの店で食事をする

 アメリカ流通業の実態は、限られた時間のなかで店を見るだけでは十分に理解できない。店はあくまで1つの現象に過ぎないからだ。ホールフーズのレジ外側に宅配用ロッカーを設けていたのは消費のトレンドに抜かりなく対応しなければならないことを示している。しかしその対応がどの程度の効果につながるかは誰にもわからない。

 豊かで多様な東海岸の暮らしの中にはそれこそ無数の商いのかたちがある。個人商店から大手チェーンまでその商売のやり方はその生き方でもある。それがいいか悪いかはすべて顧客が決める。誰に何をいくらでいくつ、どんな売り方で? 商業者にとって尽きないテーマである。

(了)

<プロフィール>
101104_kanbe神戸 彲(かんべ・みずち)
1947年生まれ、宮崎県出身。74年寿屋入社、えじまや社長、ハロー専務などを経て、2003年ハローデイに入社。取締役、常務を経て、09年に同社を退社。10年1月に(株)ハイマートの顧問に就任し、同5月に代表取締役社長に就任。流通コンサルタント業「スーパーマーケットプランニング未来」の代表を経て、現在は流通アナリスト。

 
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