2024年12月22日( 日 )

積水ハウスの新役員人事、和田派を一掃~火種として残る地面師詐欺事件の調査報告書(前)

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 勝てば官軍、負ければ賊軍。敗者は追放される。積水ハウスの新体制では、クーデター事件で解任された和田勇(前会長)派が一掃された。勝利した阿部俊則(前社長・現会長)派は安泰かというと、そうでもない。対立を招いた地面師詐欺事件の調査報告書が火種として残る。

阿部会長が権力基盤を強化

 積水ハウスは3月22日、定時株主総会(4月26日)に合わせた新たな新体制を発表した。派閥抗争に勝利した阿部俊則会長の権力基盤を固めるものとなった。

 積水ハウスの1月24日の取締役会に、東京・五反田のマンション用地詐欺事件で55億円の損失を出した経緯についてまとめた調査対策委員会の調査報告書が提出された。和田勇会長(現・取締役相談役)と阿部俊則社長(現・会長)が、その経営責任を巡り衝突。和田氏が、土地取引を決裁した阿部氏の解任動議を出したが否決。阿部氏が和田氏の解任動議を出し、トップ同士の対立に発展。最終的に、和田氏が辞任する事態になった。勝利した阿部氏が会長に就任し、新社長に仲井嘉浩氏が就いた。

 阿部氏は、代表取締役に70歳定年制を設けるなど、コーポレートガバナンス(企業統治)を見直すと発表。3月8日の記者会見で「取締役会の大改革をしたい。不退転の決意でやるのが私の役割と責任だ」と強調。阿部氏の取締役会の大改革が今回の役員の人事異動である。

(つづく)
【森村 和男】

 
(後)

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