積水ハウス、株主総会に立ち込める暗雲(後)
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助言会社の推奨は機関投資家や海外投資家に影響を与える
助言会社とは、機関投資家らを主な顧客とし、企業の株主総会の議案に対する賛否を推奨する。日本でも助言会社が株主の議案賛成率に影響をおよぼし始めている。
ISSは過去5期の平均と直近のROE(自己資本利益率)がともに5%未満だと取締役選任に反対を推奨する。他方で、株主提案には賛成を推奨する。
電子部品商社の黒田電気(東証一部)が17年6月29日に大阪市内で開いた株主総会で、旧村上ファンドの関係者らが運営する投資会社レノが提案した社外取締役選任議案が、賛成多数で可決された。経営側が反対する株主提案が可決されるのは異例なことだ。
投票行動に影響力をもつ助言会社のISSは、社外取締役の選任の株主提案に賛成を推奨した。同業のグラスルイスは反対を推奨して助言会社の対応は割れた。
昨年の株主総会から大手運用会社は個別議案ごとの賛否開示を始めた。ISSなどが反対した議案に簡単に賛成できない雰囲気が漂う。
ISSとグラスルイスが積水ハウスの人事案に反対を推奨したのは、ROEという業績の問題ではない。地面師詐欺事件について説明責任をはたしていないという隠蔽体質、信頼性の問題だ。
積水ハウスの株主構成は、金融機関38.46%、証券会社5.32%、その他法人11.70%、外国人29.62%、個人・その他14.96%(17年1月期末時点)。助言会社の推奨が、賛否判断に影響を与えやすいとされる外国人投資家の割合がかなり高い。
積水ハウスは、主要株主には長年の取引先が多いことから、人事案の議案は過半数を取れると踏んでいるようだ。しかし、金融機関などの機関投資家は個別議案ごとに賛否を明らかにしなければならなくなった。ISSが反対を推奨した議案に賛成する理由を求められることになる。反対の理由がROEではなく信頼性の問題なので対応に苦慮することになろう。
クーデターで追われた和田勇前会長の不気味な予言
『「クーデターで会社を追われた男」前会長』がすべてを語った」
「週刊現代」(18年3月31日)が、和田勇氏への突撃取材を掲載した。和田氏は積水ハウスのドンとして君臨していたが、クーデターで会長の座を追われ、4月26日の株主総会で取締役も外れ、一素浪人になる。「老兵は死なず、ただ、消え去るのみ」の心境にはほど遠いようで、恨み言を述べている。クーデターの勝利者となった阿部氏が頑なに全文公表を拒否する調査報告書の内容とはどんなものなのか。
〈報告書の中身について僕の口からはいえませんが、重い責任があると指摘されれば、「責任を取るべし」と解釈するのが普通でしょう。経営者であれば、そんなことをいわれるまでもなく、あれだけの事件を起こせば自分から身を引くものですがね。〉
同誌は積水ハウス関係者の予想をこう伝えた。
〈次の山場は株主総会です。会社側はこのまま乗り切れると思っているでしょうが、説明責任を果そうとしない経営陣に株主たちが「NO」を突き付ける可能性はある。〉
株主総会は4月26日に開催される。阿部俊則氏が積水ハウスの新たなドンになれるかの正念場だ。
(了)
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