2024年12月29日( 日 )

アメフト問題に文科相も「看過できない」

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 日本大学のアメリカンフットボール部の選手が、関西学院大学との定期戦で重大な反則行為を行った件で、林芳正文部科学大臣は18日、「看過できない非常に危険な行為」として、全容解明に乗り出すとし、行政も調査する大きな事態となっている。

 国内の大学アメリカンフットボールは、「日本大学フェニックス」など、プロ球団のようなチーム名が付くほどの人気スポーツではあるが、プロ化はされておらず、卒業後は社会人リーグのみ。テレビのスポーツ番組でも、年間で報道されるのは学生日本一を決める「甲子園ボウル」や大学、社会人を含めた日本一を決定する「ライスボウル」くらい。4年に1度行われるワールドカップでは1999年の第1大会と2003年の第2回大会で日本代表が優勝しているものの、大きく報道されることはなかった。いわゆるマイナースポーツの部類なので、関係者の間では、ここまで大きく取り上げられるとは予想していなかったのではないか。

 日大アメリカンフットボール部は、元監督の故篠竹幹夫氏が有名だ。厳格な指導と絶対的な統率力で、在任中に17度のリーグ優勝に導き、日大はアメリカンフットボールの名門として君臨。19日に辞任を表明した日大の内田正人元監督もその指導を受けた。OBには日本代表も多く輩出しており、今回の悪質なタックルを行った選手も元U-19日本代表の選手だったという。

 これだけの騒ぎとなり、日大アメフト部の部員にはかん口令が敷かれているほか、卒業して社会人となっているOBや関係者もテレビ取材などで話す一部の人を除き、今後の仕事面の影響や風評被害を恐れているのか口を開かないようにしているとの声も聞かれる。そうしたなかで、各大学のアメフト経験者数人に聞くと、

 「あんな悪質な反則はない。あのように無防備な状態で後方から受けるタックルほど危険なものはない。よほど立場が追い込まれていたのではないか」
 「伝統校であり、監督は成績が求められ、選手は結果が求められる立場。層の厚いチームで、選手はどうすれば監督に使ってもらえるかに必死になっていた」
 「学生スポーツにおける絶対服従、理不尽な指示は今に始まったことではない。アメフトはまだまだマイナースポーツで、競技人口のさらなる減少につながるのでは」と話した。

 行政の調査となれば、今後刑事事件に発展する可能性もある。全容解明までの動向が注目される。

 

関連記事