【事件】堺医療グループ・ゴールデンコンビ決裂の真相(1)
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昨年5月、福岡の医療関係者を驚かせる、ある事件が起きた。福岡市南区の医療法人、堺整形外科医院の元理事長で医師の堺研二氏が名誉棄損容疑で逮捕されたのだ。知人女性を中傷する文書を女性の関係者に送信した疑いだった。
堺氏は医療界でやり手の経営者として知られ、メディアへの出演などで知名度の高い有名人だった。責任ある立場の人間が、なぜ犯罪行為に手を染めたのか。背景には、仲の良い兄弟が巻き込まれた、複雑な人間模様があった。
事件の概要~2つの「なぜ?」
2017年3月12日午前6時ごろ、堺研二氏は会社経営者の知人女性(40代)を中傷する文書を、福岡市中央区のコンビニからFAXで女性の仕事関係先計5カ所に送りつけた。堺氏は、名誉毀損容疑で2カ月後に逮捕。起訴後、一審で懲役1年、執行猶予3年の有罪判決が言い渡されている。堺氏は控訴するも棄却され、今年3月30日に求刑通り確定した。
なぜ、医療法人の実質的代表者が軽はずみな行為におよんだのか。さらになぜ、たった1度、FAXを数カ所に送っただけという軽微な犯罪で、逃亡のおそれもない堺氏が逮捕されるまでの大事件化したのか。事件の真相を理解するには、この2つの疑問を読み解く必要がある。
「整形外科」と「整骨院」のゴールデンコンビ
拡大を続ける堺グループは、福岡の医療界で一目置かれる存在だったという。2人の兄弟がゼロからつくりあげた医療・介護グループの中核事業は、整形外科医療と整骨治療。弟の堺研二氏が堺整形外科医院、兄の堺正孝氏は堺整骨院グループを運営し、双方がグループの理事と役員に就任して事業運営を担っていた。研二氏は、高校時代に兄の助言で医学部受験を決めており、仲の良い兄弟は「医療界のゴールデンコンビ」として注目を集めるようになった。
一般的に、整形外科と整骨院は「水と油」の関係にあるといわれる。医療関係者によると、「整形外科が整骨院に積極的に患者を紹介することはない」ため、そのニッチな需要をついた堺兄弟の統合医療(西洋医療+東洋医療)は評判を呼び、事業規模は急拡大。近年は、グループ売上高で20億円を超えるまでに成長していた。
(つづく)
【東城 洋平】
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