豊洲問題、「パンドラの箱」を開ける耐震偽装・仲盛説が拡散中
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行政と大手企業の欲が悲劇を生む
移転予定日の10月11日まで残り約4カ月――。しかし、移転に対する疑念が尽きることはなさそうだ。ここにきて、小池都政が市場問題プロジェクトチーム(PT)でフタをした、豊洲市場・水産仲卸売場棟の構造設計の問題が再燃の様相を呈している。
本サイトでも報じてきた、豊洲市場・水産仲卸売場棟の構造設計の問題は、構造設計一級建築士の仲盛昭二氏((協)建築構造調査機構 代表理事)による構造計算書など関係資料の解析に基づくものである。
地震によって変形する角度の大きさ(層間変形角)、保有水平耐力計算の係数偽装などの建築基準法施行令違反のほか、結果として、1階柱脚の鉄量が規定の必要鉄量の56%しかなく倒壊の危険性があることまでが指摘された(関連記事参照)。
同問題は、市場問題PTでも少しふれられた。しかし、設計大手の(株)日建設計(東京都千代田区)のブランド力と、ビジネス上の関係で逆らえない専門家の追認・黙認、構造設計に関する説明能力のない行政庁・東京都の建築確認など、まったく根拠らしい根拠が示されないまま、不問とされたのである。あるPT関係者は、不問とされた理由について「構造設計の問題が、大きく取り上げられれば、もし、市場移転がなかった場合、豊洲の建物が高く売れなくなる」と語っている。
豊洲移転に反対する都民グループは、ほかの問題とともに仲盛氏の指摘を大きくビラに掲載。市場関係者や都民に配布するなど移転阻止行動を展開している。仲盛氏の指摘については、東京都を相手取り、提訴することも検討中。訴訟となれば、仮処分により、市場移転のスケジュールに影響が出ることも考えられる。
たしかに、構造設計の問題は、専門知識のない一般市民には理解が難しく、「大手がやったから」「行政の確認済み」と、明確な根拠のないままに素通りされてきた。盲信的な承認によって、災害時に取返しのつかない悲劇が生まれた事例は枚挙にいとまがない。
市民の無知・無関心を利用した「パンドラの箱」をつくりあげ、保身を図る行政、利益を貪る企業に存在価値はない。自分たちの無責任によって生じる事態に想像をめぐらし、責任をもって惨事の回避に努めるべきだろう。
【山下 康太】
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