10世紀の争いの果てに~EUのフランス、ベルギー、オランダはどこに向かうのか(1)
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今年も福岡商工会議所のヨーロッパ視察に参加した。
7月3日、ベルギーのブリュッセルに到着した時のことだ。その前日はワールドカップ、日本対ベルギー戦が行われた日だった。地元の人から「日本は良く戦ったね。一時は負けると焦ったよ」と日本代表チームの戦いぶりを賞賛された。私は内心「負けていたらそんな余裕のある態度が取れるはずがないだろう」と冷やかな気持ちでいっぱいだった。
前夜、パリでの夕食中、タブレットでサッカーを見ていた同行の阿久根氏は「日本が勝っている」と興奮して声が震えていた。私が「試合時間はどのくらいですか?」と尋ねると「現在、60分過ぎ」と返答があった。「(残り5分というならまだしも)ロスタイムを含めると実質残り40分弱あるだろう。これは多分負けるな」と直感した。
懸念した通りだった。まずあっという間に2点を奪われ同点になる。後半終了直前のベルギーの3点目をみると両者の実力差は歴然だと感じた。ベルギーのカウンターの際のパスワーク、ドリブルスピードに日本選手はついていけなかったからだ。
ベルギーを本気にさせてしまえば実力の差は如何ともしがたい。徳丸氏は「やはりね。負けてしまった」と溜息をついた。パリやブリュッセルの、どのカフェでもワールドカップを放映し、お客さんはテレビの前にくぎづけになって応援していた。この光景を見た私は、両国の国民は、自国のサッカー選手を『我がヒーロー』とあがめていることを知り、日本とはサッカーの歴史が違うことを思い知った。面白い経験をさせてもらった。
ヨーロッパに学ぶ
今回の視察テーマは『この10世紀の激動を経て、視察する地域は、どういう方向に向かっていくのか?』を考察することである。訪問するフランス・ベルギー・オランダの3カ国は、この10世紀の間、中世、近世、近代を引っ張る役割を担ってきた。世界各地で植民地統治を行ってきた経験を有している。また、お互い戦争をし合ってきた間柄でもある。
今年2月にシシリー島、昨年も2月にクレタ島に飛んだ。なぜ2月かというと閑散期なので費用が半分以下で済むからだ。この期間(1月から4月)に旅行されることを勧める。
この2島への訪問目的は『悠久の6000年の歴史の空気を吸う為』だった。
確かにエジプトやペルシャでは勃興した文明を肌で感じ取ることができた。「地中海の航海を通じて広範囲に影響を与えたこと」を体験した。しかし、それは単なる歴史の重みを感じ取ることに終始したに過ぎない。今回の「過去の10世紀を探る」というテーマは「現代から未来へ、どう考察するのかの実践的な課題」である。「楽しかった、勉強になった」だけでは済まない。現在の経営にどう生かすことができるかが問われるのだ。
ヘルシンキ経由の利便性への認知が拡大
今年の福岡経済訪問団は総勢17名である。7月1日午前10時にAYO76便 で福岡空港を旅立った。
昨年はスタートからつまずいた。中国西安を飛び立ち、ヘルシンキに向かったフィンエアーが鳥を吸い込み飛行中止になるアクシデントがあったのだ。この飛行機はヘルシンキ経由で福岡に飛ぶことになっていた。結局、参加者全員が、日本からドーハ経由の南回りでイタリアに到着、30時間を超える長旅だった。
このフィンエアーを利用した視察の目的はコチラを読んでいただきたい。午前10時に飛びたてばヘルシンキには現地時間午後2時25分に到着する。所要時間は10時間25分だ。1時間30分ほど待ってヘルシンキ発午後4時5分のパリ行きに乗り換える。所要時間は3時間5分。ヨーロッパ主要都市の大半にはヘルシンキ空港から3時間ほどの飛行時間で到達できるという利便性がある。
福岡空港から行きの便の搭乗率はおよそ65%と思われる。帰りは70%だっただろうか。損益分岐点ギリギリというところか。そうなると便が打ち切りになる可能性がある。しかし、日本との間で週に31便フィンエアーが飛行しているという。福岡便以外はどこも黒字だそうだ。だから「福岡便の中断の可能性はない」との説明をうけて一安心した。ヘルシンキ空港を経由してヨーロッパを飛び回れる利便さが認知されてきたのだろう。ヘルシンキ空港も活気を呈しており、空港全体でリニューアルおよび拡張工事が行われていた。
(つづく)
※登場人物はすべて仮名
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