どうなる?(株)北斗産廃不法投棄問題(3)~8,500m3の謎
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佐賀県鳥栖市で産業廃棄物の中間処理場を運営していた(株)北斗が起こした不法投棄問題。事件発覚から4年が経過した今年7月、鹿児島県に不法投棄された廃石膏ボードの処理をめぐり、同県は排出事業者に対して自主撤去の方針を照会した。北斗関係者らによる自主撤去が進まないまま、ついにその責任が排出事業者に向けられたかたちだ。7月末に開催された鹿児島県による説明会には、北斗に処理を依頼した排出事業者が多数参加。「納得できん!」―と、参加者からは不満の声が相次いだ。
社名公表の圧力
説明会に参加した排出事業者に率直な感想を聞いたところ、「鹿児島県は『排出事業者責任』を前面に押し出しながら、排出事業者リストの公表を盾にプレッシャーをかけてきている」という意見があった。今すぐの公表はないにしろ、県は排出事業者リストの存在を明らかにし、自主撤去が終われば、リストから削除するという説明を行っていた。それは、暗に「撤去に応じないと、いつかリストを公開する」という排出事業者への脅しにも取れる。行政による圧力だと感じた事業者がほとんどだろう。
また、時間的な制約も参加者を焦らせる結果となった。説明会が開催された時期は7月27日から8月3日まで。鹿児島県が回答書の提出期限としたのは、8月13日だった。わずか10日から2週間という短期間で、撤去方法を選択しなければならないというものだ。
参加者に話を聞いたところ、「回答するためには、県に現地視察の了解を取り、見学、見積もり、そして回答書作成が必要となる。時間的な余裕がなさすぎる」というコメントが返ってきた。また別の参加者は、「現実的には重機やトラック、人も必要で、鹿児島県外の企業が自主撤去するにはハードルが高いため、Bの共同撤去を選ぶほかない」という意見も聞かれた。
数字の根拠に不信感
鹿児島県が公表している不法投棄の総量は約8,500m3。これは、不法投棄を行った谷山氏からヒアリングしたもので、実際の量と一致するとはいえない。排出事業者数は約500社であると県は明らかにしており、それに対して「8,500」という数字はどう考えても少なすぎる。それでも県は「総量の測量は行わない」としており、数字の根拠があいまいなままで説明を進められても、納得がいかないのは当然だろう。
県は約500社の排出事業者ごとに、自主撤去対象量を通知している。これは、排出事業者が北斗へ不法投棄期間内に委託した量を、契約書などにより確認した数字だ。つまり、「この量はお宅の責任で撤去してくれ」というもの。これがまた納得いかない。
ある排出事業者のもとに届いた資料を確認すると、自主撤去対象量がその1社だけで5,000m3を超えていた。県は不法投棄の総量を8,500m3としているのにもかかわらずである。ほかの排出事業者にも聞いてみたところ、1社で約2,000m3との数値だった。つまり、そもそも8,500という数字そのものに信憑性はなく、全事業者へ通知した自主撤去対象量は、県が公表した8,500m3よりもはるかに大きな数字になると考えられる。
(つづく)
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