キャッシュフローから傾向を読み取る(後)
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キャッシュフローをもう少し具体的に見ていきましょう。キャッシュフォロー(以下、CF)には「営業活動」を表す営業CF、「投資活動」表す投資CF、「財務活動」を表す財務CFがあります。
営業CFは、営業活動による現金および現金同等物の増減を表しており、営業CFがプラスの場合、本業の利益で資金が増えたといえます。マイナスの場合は、本業で資金が減少しているということですので、プラスの場合が高評価となります。
投資CFは、将来的な利益獲得のために投資をしているかどうかを表すものですから、営業CFとは見方が異なります。投資CFがプラスの場合、将来的な投資が少ないために資金が増えたということになります。将来の利益のためには一定水準の投資が必要で、それを実行していれば投資CFはマイナスになります。このため会社の規模感に見合った投資、つまり一定水準のマイナスが高評価となります。財務CFは金融収支による資金の増減を表しています。
財務CFがプラスの場合、借入金が増えたことで資金も増えた場合が多いです。マイナスの場合は、借入金の返済をしたことで資金が減少するのが一般的です。財務CFについては、プラスとマイナスのどちらが良いとは言い切れません。その企業の置かれた状況、資産の状況などによって判断が変わるためです。もともと借入金が少なく、今後大きく伸びそうな事業に投資するために借入金を増やすのは良いことでしょう。一方で事業が後退局面にあり、縮小傾向にあるような状況では、借入金は減っていくのが良いことになります。
この3つのCFのバランスにより、その企業がどのような状況にあるか、大まかに読み取ることができます。急成長企業は営業CFがプラス、投資CFがマイナスになる傾向が多く、業績不振の企業は営業CFがマイナス、投資CFがプラスになる傾向が多くなります。また、どちらの場合も財務CFがプラスかマイナスかで見方が変わります。成長している企業でも、本業の利益で借入金の返済を進めている場合もあれば、借入金を増やし積極的に投資している場合もあります。業績不振の企業も、本業のマイナスを借入金を増やすことで補てんしている場合もあれば、資産売却などで借入金の返済を進めている場合もあります。
キャッシュフローを正しく理解し、損益計算書、貸借対照表と重ね合わせて読み解けば、企業の実態が浮かび上がってくることは理解しておく必要があります。
(了)
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