2024年11月22日( 金 )

【西日本新聞】大濠花火大会終了の背景~相次ぐリストラ策(中)

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(株)西日本新聞社

3月末に南九州から撤退、縮小する発行エリア

 業況の悪化に対して、同社がとった手段はエリア縮小によるコスト圧縮。09年に、山口市、下関市、那覇市の支局を閉鎖し、山口県、沖縄県での発行を打ち切り、支社を本社化して北九州地域に注力。10年から宮崎県、鹿児島県の地方版を統合して「南九州ワイド版」としていたが、今年3月末で両県における「西日本新聞」「西日本スポーツ」の発行を打ち切った。さらに14日、同社主催の「西日本大濠花火大会」を終了すると発表した。表向きは「運営上の問題」としているが、これもリストラ策の一環だと考えていいだろう。

 こうしたリストラ策で減収が続くなか、販管費率を多くても35%台で抑えつつ、利益を確保することに成功している。18年3月期は、固定資産売却益11億2,200万円を特別利益に計上したこともあり、直近10期で最高となる当期純利益8億6,800万円を計上。財務内容は、同社単体で自己資本比率47.5%、流動比率182.6%、連結でも自己資本比率51.8%、流動比率196.4%と、いまだ健全域にある。
 しかし、悪くいえば「ジリ貧」状態。発行エリアの状況を見ると、九州北部に偏っていることが一目瞭然だ。16年の平均発行部数の内訳は、福岡(都市圏版・北九州版・筑後版・筑豊版)79.0%、長崎(長崎北版・長崎南版)9.0%、佐賀版6.8%、熊本版2.5%、大分版2.3%、南九州版(宮崎・鹿児島)0.3%と福岡が大半。さらに、福岡内のシェアは、都市圏版60.5%、筑後版22.8%、北九州版9.2%、筑豊版7.5%となっており、人口約154万の福岡市を含む福岡都市圏のウェイトが高いことがわかる(【グラフⅠ】参照)。

 ちなみに、福岡市17万7,508部の次に平均発行部数が高かったのは久留米市4万2,895部。久留米市の数字には大刀洗町が含まれているが、同町の人口規模(約1万5,000人)を考えると、二番手と考えて間違いないだろう。
 今なお人口が増え続けている福岡市を抑えていることが同社の強みともいえるが、今後も撤退が続けば、外堀・内堀は埋め立てられ、ついには本丸を残すのみとなる。人口減少の自治体ワーストではあるが、北九州市に人材を集め、シェア拡大を図りたいところだ。

(つづく)

【山下 康太】

<COMPANY INFORMATION>
代 表:柴田 建哉
所在地:福岡市中央区天神1-4-1
設 立:1943年4月
資本金:3億6,000万円
売上高:(18/3連結)535億2,600万円

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