社員の労働環境の改善と生活の豊かさを追求し、魅力ある職場を創造(後)
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リョーユウ工業(株)
残業時間の短縮と業績の拡大に取り組む
リョーユウ工業は、1972年6月に諸石現社長の祖父・山中量雄氏が創業、父・信義氏、裕氏と3代46年にわたって鉄、ステンレス、アルミなどの金属加工を手がけてきた。金属加工業のなかでも、0.5mmから6mmまでの厚さの金属板を手の平サイズから最大8mまでのカットや曲げ加工を得意とし、その精度の高さと短納期は同社の大きな強みとなっている。加工する金属製品は、ビルのエントランスに掲げられている各階の施設や入居企業(店)の案内板、商業施設のロゴなどさまざまだ。
九州一円から寄せられる加工依頼は増加し、着実に業容を拡大している。一方、国内の人口減少や労働時間の制約などもあり、繁忙期には受注量に対して人手が足りない。人手不足は今後も続き、売り手市場の状況下で、いかに人材を確保するかが、企業存続にとって避けて通れない課題となっている。人材を継続的に確保するためには、入社動機を高める魅力づくりが不可欠である。諸石社長は、残業時間の短縮と業績の拡大が、求職者からみた魅力になると考えた。
最近の求職者は、給料はもちろんだが、休日や残業、社内の雰囲気などを重視する傾向にある。そのため、同社は休日を増やし残業を減らすために知恵を絞っている。たとえば、仕事と仕事の合間にも取り組めることを考え、無駄を省くことを全員が意識するように普段の仕事を見直すなど、細かい改善を積み重ね、効率化と残業時間の削減を進めている。必要な設備機器も導入した。残業が減れば、社員の収入が減ることにもなるので、その分のベースアップと休日の増加も実現した。
同業者との横の連携も模索
売上の拡大策にも着手した。同社が受注するのは、建築や装飾金物、シャッター、ブランド品のショーケースまでと幅広いが、年度末前後に集中しやすいという傾向にある。繁忙期は残業時間を増やさなければ対応できない量を受注するが、閑散期になると受注量が各段に減る。それだけ時期によって受注する量に差がある。この差を埋めることで、年間で平均して安定した受注量を確保しようと新たな受注先の開拓に動き出した。それが、半導体や配電盤などの機械部品関係である。近年、設備投資が盛んで、伸びている業界の1つだ。
現在、九州全域で営業活動を積極化し、着実に実績を上げている。機械部品のなかでも、ある程度パターンが決まっており、毎月コンスタントに受注できるようなものを増やそうという考えだ。そのためにレーザー加工機も導入した。データを入力すると、自動で金属板をカットするもので、効率化を図ることができる。会社の財産である技術ノウハウは継承しながら、自動化できるところには積極的に機械を導入する。このような受注を増やすことで、生産計画の見込みが立てやすくなる。社員もプライベートの時間を充実して過ごすことができる。
また、同業者との連携の可能性も検討している。同じ製造業同士、人材の確保は共通の課題である。お互いに仕事を共有できる仕組みをつくることで、幅広い要望に応えることができるようになると考えている。
将来的には、設計事務所やデザイン会社との連携も視野に入れている。設計段階から関わる体制を整えることができれば、設計から施工まで一貫した提案が可能になり、強みにもなる。自社製品を開発する可能性も出てくる。そうなると、同社の収益構造はこれまで以上に強靭になる。
時代の変化に対応するために機械化や残業時間の短縮を進め、従業員の力を発揮できる環境を調えてきた。同社が新たな飛躍を遂げるための準備は着々と進んでいる。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:諸石 裕
所在地:福岡県糟屋郡宇美町障子岳南5-3-5
設 立:1972年6月
資本金:1,000万円
TEL:092-933-6811
URL:http://www.ryo-u.com<プロフィール>
諸石 裕(もろいし・ゆう)
1971年生まれ。95年4月同社に入社。99年3月代表取締役社長に就任。ブログ「リョーユウ日記」を不定期で更新している。趣味はドライブ。関連キーワード
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