成長産業「観光産業、インバウンド」~全国商工会議所観光振興大会2018年㏌会津若松に参加して(前)
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今年の秋は昨年と比べ、格段に暖かく、磐梯山周辺の紅葉がくすんでいる。色合いに鮮やかさが欠けるのだ。夏場の大雨が影響しているとか。今後の観光業・インバウンドの発展を阻止する最大要因は自然災害と見るのは常道だろう!!
全国各地でインバウンドが増加している。「これはビジネスチャンス」と、どの地域にも勢いが感じられる。全国の商工会議所が切磋琢磨して情報を共有して競い合い、今後「観光業・インバウンド」を日本の成長産業に発展させることが重要である(大会レポート参照)。明治維新150年、会津藩屈辱の歴史
明治維新が行われたのは1868年のことである。薩摩・長州を筆頭とする政府軍にとって1868年は輝かしいスタートの年となり、現在までが「日本近代化の150年」とされている。
同年、政府軍に対抗する会津藩を始めとした旧幕府勢力および奥羽越列藩同盟による戊辰戦争が勃発した。戊辰戦争は函館攻防戦までのおよそ1年間続くことになる。
この戦いに破れた側は“賊軍”とのレッテルを張られることになる。その賊軍の中核を担った会津藩、およびその子孫・住民らにとって、この150年は屈辱の歴史だったともいえる。
戊辰戦争による会津藩の犠牲者は約3,000人におよぶとされている。会津が主戦場となった戦いでは、少年たちにより組織された「白虎隊」の飯森山での自決という悲劇も起きている。
その後、武士・住民たちには下北半島で、辛酸を舐めさせられる生活が待ち受けていた。戦いに敗れれば悪人=賊軍に仕立てあげられるのが世の常だ。だが会津藩は「徳川体制に身を捧げた」とされ、150年経った現在も、その会津藩の姿勢は人々に称賛、尊敬されている。その一方で、徳川政権の要職にあった藩が政府軍に寝返るケースもあった。寝返った藩は強い者に巻かれる「節操がない連中」だと批判された。
その会津若松で「全国商工会議所観光振興大会2018年in会津若松」が開催されたのである。会津若松を歩いてみると、現在も「信義を貫く」意固地さと「清廉潔白な暮らしぶり」が街のそこかしこに残っている。本当にすばらしい街である。
市場は拡大基調、ライバルは各国
2017年世界各国・地域への外国人訪問者数データを参照(PDF)されたし。トップはフランスの約8,700万人、2位がスペインの約8,180万人、3位アメリカの約7,590万人と続く。日本は12位で約2,870万人となる。市場の拡大基調持続の条件は明白である。(1)世界で安定した平和が保たれること、(2)世界全体が経済発展に恵まれて各国で新たな中産階級が増えること、(3)自然災害が生じないこと、である。
アメリカのトランプ大統領による経済政策の動向次第という懸念材料は横たわっている。だが、市場は基本的には拡大基調にある。日本のインバウンド数をさらに増加させるには海外各国をライバル視し、スキルアップすることが必要となる。総体としていえることは東京オリンピックの年=2020年にインバウンド数が4,000万人に達することは間違いないだろう。正念場は、それを超える領域に挑戦する時である。
インバウンド数6,000万人、1人あたりの消費25万円で15兆円市場に
今回の大会に参加して改めて知ったことがある。観光コンサルタント、アドバイザーという職種にとても多くの人が就いているという事実だ。全体会議、文化会議には数多くのパネリストも登場した。これらの職種が全国各地で講演などを行っているということは、各地域が「観光産業を育成する」ことを重要産業と位置づけている証拠だろう。
あるコーディネーターが強調していた。「将来、インバウンド数6,000万人、1人あたりの消費が25万円で15兆円市場まで拡大する。その規模になるとインバウンド産業は日本の中核産業になる。しかし、それはそう簡単に実現できるものではない」と語っていた。
2020年代の終わりにはインバウンド数は6,000万人台に到達するかもしれないが、1人あたりの消費額25万円を達成させるには根本的な発想の転換が望まれる。それは「最低1週間滞在してもらえるリゾートの拠点」を増やすことである。
筆者のささやかな経験から提言する。地中海のシシリー島、クレタ島の実情だ。この2島は5月から10月の6カ月間で1年分稼ぐ。夏場は2週間以上滞在する客が一般的だ。冬場は店を閉めるところも多い。裏を返せば冬場に行けばホテル・レンタカーなど、すべてが夏場の半額以下の穴場となるのだ。日本人こそ、こういうバカンスの体験を積まないと1人25万円を消費する観光ビジネスを構築するのは不可能だろう。
(つづく)
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