2024年11月05日( 火 )

仮想通貨取引所という新しいビジネス(後)

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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏

 日本のリスクコインは日本最大の仮想通貨取引所であるビットフライヤーに上場し、上場後すぐに、なんと65%も価格が高騰した。取引所での取引は現在、証券会社ほどの取引ではないにしても、取引所に上場すると、トークンの取引も自由になるし、ベンチャーキャピタルやクラウドファンディングに比べて、多額の資金調達ができるので、これを目指す企業が多くなっている。仮想通貨市場での取引所の影響力が増加したことで、取引所ビジネスに進出しようとしている大手企業も増えている。ゲーム会社のネクスンは、韓国最初の取引所であるコビットという取引所を買収することで、取引所ビジネスに参入している。その他、ラインの親会社であるネイバーや、カカオ、大手証券会社なども市場参入を計画している。

 CoinMarketCapのデータによると、世界には現在約200の取引所が存在しているという。11月の世界の仮想通貨取引所ランキングで、韓国の取引所のビッサム(Bithumb)とアップビット(Upbit)がトップ10入りしている。

 韓国で仮想通貨取引所が初めて誕生したのは2014年頃で、現在は合計25社くらいである。昨年仮想通貨が高騰し、取引所ビジネスがすごい収益率を上げたことにより多くの取引所が誕生した。 

 韓国最大の取引所であるビットサムの昨年の売上高は、3,334億ウォンで、当期純利益は4,272億ウォンであった。アップビットも昨年の売上高は2,114億ウォンで、当期純利益は1,093億ウォンだった。当期純利益だけを比較すると、大手ポータルサイトの純利益に匹敵するほどの金額である。しかし、その後、利用者が3分1に減少し、また激しい競争で手数料を引き下げたことによって手数料収益も激減している。韓国政府の規制により取引所は銀行に口座開設ができなくなり、利用者の募集ができない状況に陥っているからだ。

 最後に取引所の課題を挙げる。取引所にはセキュリティリスクがあり、頻繁にハッキング攻撃に遭っている。仮想通過の歴史が浅く、取引所の運営主体に対する検証がなかったのが原因の1つである。取引所に対し、今後は銀行や証券会社並みのルールが設けられるだろう。

 仮想通貨のベースになるブロックチェーン技術は改ざんなどができず、セキュリティ性が高いが、取引所にはブロックチェーンの技術が採用されておらず、ハッキングによってシステム障害、また金銭損失のリスクがある。しかし、時間とともにこのような問題も解決され、仮想通貨取引所は株式取引所以上に発展していくことが予想されている。

(了)

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