ブロックチェーンの登場と送金サービス(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
私たちは大切なお金を預けたり、借りたり、誰かに送金したりするときに、ずっと銀行を頼りにしてきた。ところが、金融とテクノロジーを融合させた「フィンテック」の登場によって、銀行はその地位を脅かされている。
フィンテックを活用して提供される新しいサービスは、スマートフォンを使い、シンプルかつ簡単に行われる。以前のように銀行で長時間待たされることなく、自分のスマホで迅速に、かつ安く、銀行と同様のサービスを受けることができるようになっている。今回は銀行業務のなかでも、送金に話を絞って、金融業界にどのような変化が起ころうとしているかを取り上げてみたい。グローバル化が進むことで、自分が生まれた国ではなく、海外に住む人が多くなっている。現在自分が生まれた国以外で生活する人は、全世界で2億5千万人に上るという。このなかには、後進国から先進国に出稼ぎに行っている人も含まれている。しかし、グローバル化が進んだ現在も世界で20億人くらいは、銀行口座の開設もできない状況に置かれている。後進国の低所得層になればなるほど、銀行口座の開設が厳しいらしいが、それでも出稼ぎに行った人たちは、毎月家族に生活費を送金しないといけない。
海外送金の年間合計額は、全世界で60兆円に上るという。国別にみると、インドへの送金が1位、中国への送金が2位、フィリピンへの送金が3位となっている。フィリピンの場合、出稼ぎに行っている人たちの本国への送金額は、年間3兆2,000万円で、GDPの3分1を占めるほどだ。
送金をする際に、銀行を利用する場合と、銀行が利用できない場合がある。銀行を利用する場合、手数料は最低でも7%以上になるし、所要時間も2、3日かかる。銀行を利用できない場合、極端な場合、手数料が20%を上回ることもあるようだ。苦労して稼いだ大事なお金を、送金手数料でもっていかれるのは、もったいない話である。
以前は銀行で高い手数料を払って送金するしか安全な送金方法がなかった。日本の場合、国内は全国銀行資金決済ネットワークによって送金が行われる。すべての銀行送金は、まずこの全銀ネットワークにアクセスし、そこから日本銀行の銀行間決済で、すべての決済が行われる。このようにいくつもの銀行システムを経由して送金が行われている。
このように銀行システムは、ハッカー攻撃などから貴重な顧客の資産を守るため、厳重なセキュリティが施されている。従って、送金にどうしてもコストが発生してしまう。海外送金にも、同様なことが行われている。海外送金は、日銀の銀行間決済の代わりに、国際銀行間通信協会決済(スイフト決済)で送金が行われる。だから、どうしても2、3日という時間とコストが発生することになる。ところが、インターネット技術の発達とスマホの普及で、今までの送金方法と違って、銀行を経由せず、個人同士で送金ができる方法が登場している。
(つづく)
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