ブロックチェーンの登場と送金サービス(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
個人同士の送金方法の1つに、ケニアのM-PESA(エムペサ)がある。エムペサとは、ショートメールを利用した送金サービスだ。日本の「LINE Pay」と似たようなサービスだが、ショートメールを使うところが異なる点だ。
エムペサの利用額は現在、ケニアGDPの40%~50%を占めるほどである。ケニアにはあまり銀行がないため、代理店にお金を預けた後、送金相手にショートメールを送ると、相手は近くの代理店で身分証明書を提示し、お金を受けとる。一方、世界的には、仮想通貨の基盤技術であるブロックチェーンを活用して送金するサービスが多数登場している。ブロックチェーンはインターネットにつぐ革命であると言われている。インターネットが情報を交換するネットワークだとすると、ブロックチェーンは価値交換を実現するネットワークだと言われている。ブロックチェーンの特長は、分散型で透明性が高いこと、改ざんや二重払いができないこと、中央管理者がいらないことなどである。ブロックチェーンが注目されている大きな理由の1つは、取引する際の信用に関する問題を解決してくれ、銀行のように信用を保証する仲介者がいらなくなった点である。
既存の銀行のような中央集権的なシステムに対して、ブロックチェーンの利点は、仲介者を通じた間接的なやり取りの代わりに、契約を締結した人同士が直接やり取りをするため、処理にかかる時間とコストが少なくなる点である。ここでは割愛するが、ブロックチェーン技術を活用すれば、データが改ざんされる恐れはない。取引の信頼が保証されるので、金融だけでなく、産業の多くの分野に応用できるため、注目されている。
デジタルデータは複製しやすく、改ざんが大きな問題になっているが、ブロックチェーンはその問題を解決している。それに、今まではデータを中央集権的に管理していたため、そのデータを保護するために莫大な費用が発生していた。ブロックチェーン技術を使えば、銀行を経由せず、当事者同士で仮想通貨などを利用し、簡単な送金が実現できるようになっている。しかし、ブロックチェーンを活用した送金サービスを利用すれば、送金手数料は0.1%くらいに抑えることができるし、送金にかかる所要時間は数秒に短縮される。利用者にとって、これほど嬉しいことはないだろう。
このようにフィンテックの登場で銀行が脅威にさらされている。その結果、銀行自身がブロックチェーンを積極的に研究したり、サービスを開発したベンチャー企業との協業を模索したりしている。世界的にブロックチェーン革命に乗り遅れまいと、多くの政府と企業はブロックチェーン技術の開発にしのぎを削っている。しかし、現段階でブロックチェーンは、いくつかの問題も抱えている。1秒間に処理できる取引量が限られていて、処理スピードの問題などを抱えているのだ。しかし、そのような問題も早晩解決されていくだろう。今後、ブロックチェーンにより取引が自動化されるなど、ブロックチェーンは多くの分野で活用されることになるだろう。
(了)
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