復活・神戸製鋼ラグビー~オフロードパスの巧みさ
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来年「ラグビーワールドカップ2019TM日本大会」が開催される。日本のラグビー界は先週末、人気名門チームの復権に沸いた。ジャパンラグビートップリーグ(TL)に所属する神戸製鋼コベルコスティーラーズが15日、日本選手権は18年ぶり、TLを15年ぶりに制覇した。対戦したサントリーサンゴリアスは日本選手権3連覇がかかっていたが、5‐55で完敗した。
報道などでは、今シーズン加入した世界的英雄のダニエル(通称ダン)・カーター選手がクローズアップされている。ラグビー経験のない友人たちは電話で「あのカーターという選手はすごい」と力説していた。確かにダン・カーター選手は、パス・ラン・キック、そしてタックルは当然のこと、瞬時の状況判断と周辺視野が超一流である。世界最高峰のスキルに加えて母国ニュージーランドを世界一に導いた戦略的頭脳と戦術眼は、間違いなく現在日本でプレーする選手のなかで一番である。
ラグビーとは、100m×70mのフィールドを15人ずつの2チームが対峙し、1つのボールを保持、パスあるいはキックを駆使しながら、対戦相手の陣地へ進み、相手のゴールを陥れるというゲームである。
ダン・カーター選手は、相手側の15人と自チームの14人の位置の変化を瞬時に見極めて戦術上、ベストなプレーを選択することができる。
しかし、ラグビーは1人でするものではない。ダン・カーター選手の動きに順応・調和できる周りの選手の奮闘が必要不可欠だ(神戸製鋼に入団する選手は、日本人は代表クラス、あるいはそのレベルに近い競技水準を有する)。そこには、精妙かつ精密な相互間の対話があったことが容易に想像できる。神戸製鋼のプレーで特筆すべきは、「オフロードパス」だ。日本ラグビーフットボール協会およびTLがPerform Media Japan(株)の協力で行っている分析データによると、リーグ戦におけるオフロードパスは神戸製鋼が133と圧倒的1位だという。(2位は94)。
オフロードパスとは、タックルされながらボールをパスすることである。ルール上、タックルされるとボールを保持する選手は、ボールを離さなければならない。しかし、タックルで倒される前ならパスが許される。サントリーとの試合では、神戸製鋼の選手が高度なオフロードパスで、相手の防御を何度も崩壊させ、前半のボール支配率は70%を超えた。
ボールを支配し続けると必然的に得点の機会が増える。そのボール支配率を高めたのが、高いパス能力と状況判断である。その高いパス能力のなかに、オフロードパスも含まれている。タックル成功率84.6%の強力な防御能力を有するサントリーをもってしても、神戸製鋼のボール支配を寸断できなかった。実力が伯仲していた両チームの対戦で想定外のスコアになったのは、神戸製鋼がサントリー戦に向けて準備した「ボールを支配し続ける」神戸製鋼の戦略・戦術を選手全員が80分間徹底したことに他ならない。関連キーワード
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