金正恩氏のソウル訪問はいつ実現するのか?(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
2016年から2018年にかけて、世界で最も注目されたニュースの1つに、北朝鮮関連ニュースが挙げられる。2016年と2017年、北朝鮮は第4回目から第6回目の核実験と、大陸間弾道ミサイルを含めて、16回のミサイル実験を断行した。全世界は北朝鮮のこのような挑発的な行動に懸念を示し、米国は北朝鮮への先制攻撃まで検討するようになった。まさに朝鮮半島は一触即発の危機が迫っていた。
ところが、2017年末、朝鮮半島をめぐる情勢は急変した。北朝鮮は2018年2月の平昌冬季オリンピックに参加しただけでなく、南北首脳会談、それから6月には初の米朝首脳会談まで実現させている。首脳会談の主要議題は、ご承知のように朝鮮半島の非核化で、米朝首脳会談をきっかけにして、朝鮮半島に平和が訪れるのではないかという期待が大きかった。
北朝鮮が急に態度を変えざるを得ない理由として、北朝鮮経済の行き詰まりが挙げられている。意外かもしれないが、北朝鮮の貿易依存度は50%である。そのような中、2016年以降、国連決議による5回におよぶ北朝鮮への経済制裁は、北朝鮮輸出の94%を止めてしまい、北朝鮮経済に大打撃を与えている。
このままでは体制の崩壊を招きかねず、経済の立て直しが急務だった。北朝鮮経済が立ち直るためには経済制裁解除は必須だし、また開放政策の選択は避けて通れない。だから、北朝鮮は制裁を解除してもらう方法として非核化を選択しているわけである。このように、非核化は政治的なアジェンダだけでなく、体制維持の前提条件となる経済制裁と密接につながっている。
北朝鮮は核実験を中止し、一部の核関連施設を爆破したり、解体したりしているが、完全な非核化までは、まだ道のりが険しい。非核化を促進するため、当事者である韓国は、まず世界からの信頼を勝ち取ることが先決だと思い、金正恩委員長のソウル訪問を実現させようとしている。今回は金正恩のソウル訪問ははたしていつ実現するのかを取り上げてみたい。今年6月にシンガポールで米朝首脳会談が行われ、米朝関係は急ピッチで改善に向かっているように見られた、ところが、米国は北朝鮮に対して最終的で、完全で、検証可能な非核化にこだわったため、非核化は、その後、あまり進展を見せていない。一方、北朝鮮は対話に応じることで、先に経済制裁の解除を狙っていたが、今回はそれも実現されず、米国に対する不満を口にするようになった。米朝の間に仲介役として入っている韓国の文大統領は、9月19日に開かれた2回目の南北首脳会談で、非核化に向けた意思表示として金委員長のソウル訪問を提案し、金委員長はそれを受け入れ、近いうちに金委員長のソウル訪問が実現されることが期待されていた。 通常、首脳会談は相互主義なので、相手国の招待を受けると、それに応じることが礼儀となっている。しかし、韓国と北朝鮮の間では、そのような関係は成立していない。金大中大統領も、盧武鉉大統領も平壌を訪問したことはあっても、北朝鮮の指導者は韓国に訪問していない。今回金正恩委員長がソウルを訪問することになると、北朝鮮の指導者としては初のソウル訪問になる。
(つづく)
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