大々的に発表された「柳橋ホテル計画」 実は天秤にかけられていた
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10月末、柳橋連合市場(福岡市中央区)内でのホテル開発が地元紙で報道された。開発を手がける東京の(株)大京(本社:東京都渋谷区)もこのホテル開発計画を発表。しかし、関係者の一部は狐に摘まれたような気分になったという。水面下では当該用地を含む、より大型の開発計画が進められていたからだった。さらに取材の過程で明らかになったのは、売買契約後に別交渉を行っていた売買仲介業者の不穏な動き。利益追求は悪くはないが、あまりにもモラルに欠ける行為だ。
10月30日、不動産開発の大京が「博多の台所」と呼ばれる柳橋連合市場の一角に開発するホテル計画を発表した。現在はコインパーキングとして利用されている約400坪の用地。かつては食品スーパーの「マルキョウ柳橋店」があった場所だ。同地は2015年1月に学生寮を建設する目的で、香蘭女子短大や香蘭ファッションデザイン専門学校などを運営する(学)山内学園が取得していたが、進入口が狭いことで建設を断念。その後は、関東や福岡でマンションや戸建住宅の開発、不動産売買を手がける(株)ジョイフルコーポレーション(本社:東京都町田市)が土地を借りて、パーキング事業を行っていた。
市場内のビルに福岡支店を置くジョイフル社は現在、市場内中央部で建設が進んでいる「春吉1丁目プロジェクト」(通称:高口ビルの建替)に深く関わっていた。当時の高口ビルのテナント立退交渉では、柳橋連合市場を巻き込み、協同組合で何度も総会の議題に上った経緯がある。(詳細はコチラ)
今回のホテル計画にも、このジョイフル社が大きく関わっている。18年6月、同地にホテルを建設することを目的に、大京が売買契約(売買代金完済の条件付き)を締結。山内学園が大京に土地を売却する契約が交わされているのだが、関係者の話では実際は「中間省略」でジョイフル社が間に入っているという。山内学園と大京の契約金額は17.6億。しかし、実際は間のジョイフルが14.6億で買ったようになっており、3億上乗せして、大京に売却しているかたちだという。売買仲介も行っているため、この取引だけでジョイフル社が手にした金額は数億円との試算が成り立つ。ジョイフル社にとっても、大きな取引であったに違いない。
10月には地元紙がホテル計画を大々的に報じたことで、地上12階242室のホテル誕生に期待が集まっているのだが・・・。一部の市場関係者が首をひねっているのも事実のようだ。どうやら水面下では別の大型開発計画が進行しており、ホテル計画は現実の話なのかと懐疑的に捉える関係者もいる。
そんななか、一時ジョイフル社が買い主である大京の知らぬところで、別の第3者へ売却を検討していたことが明らかになった。事実なら売買契約成立後に契約を覆すことになる。一般的には考えられないことなのだが・・・。売買契約後の8月、ジョイフル社が第3者に先の売買金額におよそ10億円上乗せした金額(28.8億円)で提案していた文書が見つかっている。金額の内訳も詳細に記載されていること、解約違約金も含まれていることから、新たな買い手が見つかれば、大京に対し、契約を解除する交渉に出る予定だったとみられる。買い主である大京にジョイフル社の一連の行為について確認したところ、一切把握していなかった。利益を追及するのは悪いことではないが、先の契約がありながら天秤にかけるようなジョイフル社の行為が事実なら、モラルに欠ける行為と言わざるを得ない。
【東城 洋平】
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