海水淡水化技術は水不足解消の切り札になるのか(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
国連が発行した「世界水資源開発レポート」は2025年、世界の人口の約35%が水不足に悩まされると予測している。人間は体の7割が水でできているし、人間は水なしで生活を営めない。水不足は人間にとっては深刻な問題だし、水は食料、エネルギーとともに、今後最も貴重な資源になるだろう。
地球の水の約97.5%は塩分を含んだ海水で、残り2.5%が淡水である。海水を飲み水にすることができれば、水不足が解決できるのではないかと思われた。その結果、海水を淡水化する技術に期待が寄せられ、水不足解消の切り札として発展を重ねていった。
海水を淡水化する方法以外で水不足を解決する方法としては、地下水を利用する方法や人工降雨などがある。しかし、地下水を利用する方法は、水源を枯渇させる恐れがあるし、水質汚染が懸念されており、今は実験段階にとどまっている。
海水を淡水化する技術は、素材、装置、それから工程技術など、いろいろな技術が融合して始めて成り立つ。その結果、海水淡水化プロジェクトはさまざまな分野に技術発展をもたらした。現在、世界に設置されている海水淡水化プラントは約15,000カ所で、そのうち、66%がサウジアラビアなどの中東にある。今回は海水淡水化の動向について取り上げてみよう。
海水淡水化技術はどのように発展してきたのか。海水淡水化技術が最初に利用されたのは15世紀に遡る。ヨーロッパはその当時、大航海時代で、航海中の船舶にとって飲み水を確保することは大きな悩みの1つだった。船員たちは飲み水を得るために、海水を汲んで、沸かし、その水蒸気を集めて飲み水にしていたようだ。これが海水淡水化の始まりとされる。その後、第2次世界大戦時、逆浸透膜を利用した逆浸透法が開発され、その技術はその後も発展し続けている。
海水淡水化技術には、まず、蒸発法がある。海水を蒸発させ、塩分と水蒸気を分離させた後、水蒸気を凝結させて淡水にする方法である。蒸発法は海水を加熱しないといけないので、多くのエネルギーを必要とするのが短所である。
第一世代の技術である蒸発法においては、韓国の斗山重工業が進んだ技術と世界的な競争力をもっていた。ところが現在、市場で求められている技術は逆浸透法で、斗山重工業は市場シェアをどんどん落としている。
現在の世界の主流は逆浸透(RO)膜を利用する逆浸透法である。逆浸透(RO)膜とは、直径0.6~0.8ナノメートルの非常に小さい穴が無数に空いた膜で、海水をこの膜に通すことによって塩分が除去され、淡水がつくられる方法である。浸透現象とは、濃度の薄い淡水から濃度の高い海水に水が流れることを指す。しかし、逆浸透とは、海水に高圧を加えて、濃度の高い海水から濃度の低い淡水に水が流れるようにする方法である。
(つづく)
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