中国経済新聞に学ぶ~中国国民 過去2年間の貯蓄率が低下
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中国社会科学院経済学部、中国社会科学院科研局、中国社会科学院数量経済・技術経済研究所、社会科学文献出版社は昨年12月24日、「2019年『経済青書』発表および中国経済情勢報告会」を共同開催した。同青書の分析によると、中国国民の貯蓄率は低下傾向にあるが、「貯蓄率低下」と「貯蓄不足」は完全にイコールではないという。
同青書の指摘によると、中国国民の貯蓄では、新規預金と実物投資が中心だ。だが新規預金の割合は低下傾向にある一方、住宅購入などの実物投資の占める割合が上昇傾向にある。現在、実物投資の占める割合は40%に迫り、米国をはじめとする先進国を上回る。中国国民の貯蓄率(可処分所得に対する貯蓄の割合)は2010年に過去最高(42%)となった後は徐々に低下し、15年は37%で10年比5ポイント低下した。16年から17年にかけては個人消費増加率が鈍化し、可処分所得の増加率が基本的に安定し、貯蓄率は安定に向かい、回復する可能性も出てきた。
同青書は、「個人の貯蓄率低下は複数の要因がからみあった結果だ。まず人口高齢化が加速し、収入を生み出さない人が多くなったことがある。次に消費支出が急速に増加すると同時に収入増加率が低下したことがある。さらに個人の債務の利息が増加し、総貯蓄額が減少したことがある。積極的な面をみれば、中国の整った社会保障システムが、予防的貯蓄の低下を有力に後押しした。個人の貯蓄率の低下は、投資の鈍化、貿易黒字の縮小を推進しており、消費の寄与が増大した」との見方を示した。
ここ2年間、個人が他部門ご提供する貯蓄資金が大幅に減少し、「個人の貯蓄資金の不足」を招いた。これと同時に、企業のデレバレッジを背景として、企業の負債が深刻なものになり、「個人貯蓄不足」がさらに顕在化して、社会の注目を集めるようになった。
しかし「貯蓄不足」と「貯蓄率低下」は完全にイコールではない。「貯蓄不足」が体現するのは貯蓄率の低下だけでなく、より重要なことは個人が自身の債務の返済に充てる受動的貯蓄が増大するとみられることだ。以前、実物投資より貯蓄が多い個人は金融資産や債務の返済を増やし、金融資産の貯蓄がより柔軟になり、多くが主体的貯蓄になった。債務償還に充てる貯蓄はより硬直的であり、その多くが受動的貯蓄だ。ここ2年間は債務返還に充てる受動的貯蓄が増加している。
ここ2年ほど、住宅ローンの利用者が増加し、未来の貯蓄が貸し越しになる状態が続いている。ローン利用者の貯蓄はローンの実体に合わせて増加するが、これは不動産が増えるということであり、貯蓄や預金は減少し、債務は増加し、国民経済の運営という点では、企業部門が個人から余剰の貯蓄資金を持続的に獲得することは難しくなり、「個人の貯蓄不足」問題がさらに顕著になっている。
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