2024年11月24日( 日 )

女性起業家大賞優秀賞を受賞した遊び心を大事にしたものづくり(前)

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(株)デキャンタージュ 代表取締役 小林 由紀 氏

 全国2万2,000人を超える女性経営者のネットワークをもつ全国商工会議所女性会(連)が、2002年に創設した「女性起業家大賞」。17年、その第16回で、創業5年未満の企業が対象となるスタートアップ部門優秀賞に選ばれたのが福岡市中央区に本社を置く(株)デキャンタージュ・小林由紀代表取締役である。福岡県内企業で8年ぶりの優秀賞という快挙を成し遂げた小林社長に起業から受賞に至るまでの経緯についてうかがった。

モノ売りからコト売りへ

 ―もともと御社は美容関係の会社ではないそうですね。

 小林 私は、長年IT企業でシステム開発に携わっていて、「遊び心のある面白いものをつくりたい。人に感動を与え、笑顔にするものづくりがしたい!」と起業を決意しました。当初は、システム開発やスマートフォンアプリの開発、ホームページ制作を中核事業としておりましたが、アプリ利用者への付加価値としてのプレゼントを考えたことがきっかけとなり、2年目から手づくり石けん、無添加化粧品の企画・開発事業に着手いたしました。

 ―石けんをつくろうと思ったのは。

 小林 私自身、子どものころからじんましんやアレルギー、市販の石けんを使うとかゆみが出るなどの肌トラブルに悩まされていました。体質に合う石けんが見つからないなら『つくってみよう』と、身内が経営するせっけん工房に低刺激の無添加石けんをつくってもらい、以来それを使っていました。

 私のようなアレルギー体質の女性はたくさんいらっしゃいます。薬用のものや皮膚科が推奨したものなど、選択肢が限られているというのは女性として悲しいことです。香りが良いものやキレイなもの、美容効果があるものを使いたい、私自身そのような思いを抱いていたので、同様に悩んでいる人の手助けができればと思い商品化に着手しました。

 ―ほかの商品との差別化については。

固形ソープをカンナで削り1枚使い切りタイプへ

 小林 開発に当たっては、ほかの石けんと異なる新しい付加価値をつけたいと考えました。その1つが形状です。私自身が使用するなかで、固形のままでは出張でもち運びする際など、不便に感じていました。そこで石けんをカンナで削り、1枚使い切りタイプにすることを思いつきました。

 製法と成分にもこだわっておりまして、お肌のデリケートな方でも安心してお使いいただけるように、九州産オリーブオイルや美容オイルとして知られるモロッコ産のアルガンオイルを使っています。オイルの成分を傷めないよう、40℃前後での低温製法(コールドプロセス製法)で40日間しっかり熟成させています。

 ―商品名にあるように、誕生石を付けられたことも大きな特長の1つですね。

 小林 ただの『モノ』を売るだけでなく、贈る人も贈られた人も幸せな体験ができる『コト』を売るという発想から「女性心をくすぐり、もらってうれしくなる、誕生日や記念日など、特別な日に使ってもらえる石けん」をつくろうと考えていました。そこで誕生石に見立てたスワロフスキー(クリスタル)の付いたガラス瓶に詰め、石の言葉を記したカードも添えて、「バースデーストーンソープ」と名付けました。

バースデーストーンソープ

(つづく)

<COMPANY INFORMATION>
代 表:小林 由紀
所在地:福岡市中央区今泉1-2-30
設 立:2013年7月
資本金:500万円
TEL:092-791-2577

<プロフィール>
小林 由紀(こばやし・ゆき)

 独学でマイクロソフト認定の資格を取得し、OLからパソコンスクールの講師に転身。その後、3Dグラフィックスソフト開発やメーカーのシステム開発の業務を経て、2013年7月、システム開発・スマートフォンアプリ開発を手がける(株)デキャンタージュを設立。2017年、全国商工会議所女性会(連)の「第16回女性起業家大賞」スタートアップ部門(創業5年未満)の優秀賞を受賞。

(後)

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