日本初の台湾貿易投資センターが福岡に設立 半導体分野中心に九州進出を支援

 台湾経済部(経済産業省に相当)は21日、福岡市に台湾貿易投資センターを設立した。台湾経済部が2月に設立を表明してから、わずか2カ月後の設立となった。TSMCの熊本進出で活発化している台湾企業の日本への進出を後押しする。同センターの設立は昨年12月のチェコ・プラハに次ぐ2カ所目。チェコはTSMCが欧州初の工場を建設するドイツ東部・ドレスデンに近く、同様に半導体分野における海外での協力を進める狙いがある。

 同センターでは、日台双方の相互投資、貿易促進、産業協力、技術交流などの活性化を総合的に支援するとしている。福岡には以前より台湾貿易センター(中華民国対外貿易発展協会)の事務所が存在し、日本から台湾への投資誘致を促進する活動を行っており、今後は台湾からの投資、輸出などを含め一体的に支援する。台湾貿易投資センターの事務所は台湾貿易センターと同じく福岡商工会議所ビル(福岡市博多区)に設置され、林志鴻同福岡事務所長が台湾貿易投資センターの所長を兼任する。

江台湾経済部政務次長
江台湾経済部政務次長

    同日開催された開設式典において、主催者である台湾経済部の江文若政務次長(副大臣)はあいさつにおいて、同センターが台湾企業の対日投資活発化に対応し、事業展開、法規相談、人材マッチングなどの包括的な支援を提供すると述べたほか、日台の産業連携による先端技術共同開発やバリューチェーン構築も推進し、学術交流を通じた科学技術協力も目指すと意義込みを語った。

 甘利明自民党半導体戦略推進議員連盟名誉会長(元幹事長)は、半導体サプライチェーンについて、一国で完結させることは不可能であり、各自の強みを連結させることが重要だと強調した。そのうえで、経済安全保障の観点から、一極集中のリスクについても触れつつ、法の支配、自由、民主主義といった基本的価値観を共有する国々とのサプライチェーン構築が重要であると述べた。

黄台湾貿易センター会長
黄台湾貿易センター会長
陳駐福岡経済文化弁事処処長
陳駐福岡経済文化弁事処処長

    黄志芳台湾貿易センター会長は、日台は輸出入、観光いずれの面においてもWin-Winの関係が築かれている重要なパートナーであり、日本の半導体産業における重要な拠点である九州との連携をさらに強化するうえで、福岡に台湾貿易投資センターが開設されたことは、日台の経済貿易関係、パートナーシップが新たな、より高い段階を迎えたことを象徴すると述べた。陳銘俊駐福岡経済文化弁事処長は、同センターが日台企業の進出・投資を支援し、日本の製造技術と結びつけビジネスチャンス情報を提供すると述べたほか、AI、ロボット、ドローンなど他分野での協力強化に期待を示した。

服部福岡県知事
服部福岡県知事

    服部誠太郎福岡県知事は、福岡・九州の産業や半導体分野での取り組みを紹介したうえで、台湾企業に進出を呼びかけるとともに、センターとの連携強化に期待を示した。山口祥義佐賀県知事は、日本と台湾の歴史的なつながりや経済的な結びつきに触れたうえで、半導体分野での連携や九州各県とのチームワークに期待を示した。塩田康一鹿児島県知事は、センター開設による台湾企業と九州の連携加速、日台のグローバル競争力向上とイノベーション創出に期待を表明した。田中和徳衆議院議員(神奈川10区)も同センターの開設により日台関係がより深まることに期待を寄せた。

【茅野雅弘】

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