躍進中のベトナム:シンガポールを抜き上場企業資金調達額でアジアNO.1へ!(後編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年2月8日付の記事を紹介する。
もう1つ見逃せないのはベトナムとロシアの緊密な関係である。ベトナムの国費留学生の多くは旧ソ連そしてロシアで学んできた。やはり共産党同士の「赤い絆」には侮れないものがあることは間違いない。日本で駐日大使として活躍した現駐ドイツ大使のフン氏もモスクワ留学組であった。今でもベトナムの党や政府の幹部にはロシア留学経験者が目立つ。そうした歴史的関係もあり、ベトナムとロシアの経済的結びつきは強固なものがある。ベトナム各地では毎年、ロシア物産展やロシア文化の紹介イベントが開催されている。ロシア政府の観光庁はアジアからの観光客の誘致に熱心だが、アジアの広報活動の拠点はベトナムに置かれているほどだ。
また、ベトナムの鉄道や発電所などインフラ関連にはロシアからの支援によるものが数多く残されている。加えて、ベトナムの保有する戦闘機や潜水艦などはほぼロシア製である。ロシアとの軍事交流は極めて盛んだ。南シナ海での中国の動きに対応するためには、アメリカともロシアとも臨機応変に連携する姿勢である。
要は、アメリカとも、中国、北朝鮮とも、はたまたロシアや日本ともがっちりと手を握っている。それが未来の大国ベトナムの真骨頂といったところである。日本も大いに参考にすべきではなかろうか。
そんなベトナムが今、最も力を注いでいるのがIT産業の育成に他ならない。2012年に「科学技術に関する国家戦略」を策定したベトナム。そこで掲げられた目標は「2020年までにGDPの45%をハイテク産業で生み出す」という野心的なもの。この方針の下、情報技術省が中心となり、国内のIT関連企業の育成が始まった。
もともと「新しいもの好き」の国民性で知られるベトナム人である。国内6,000万人のネット利用者の大半がフェースブックとYouTubeが欠かせない生活となっている。とくにフェースブックの利用者は急速に伸びており、5,800万人に達し、世界では7番目となったという。
また、メッセージ送信アプリのザロはベトナムでは3,500万人が利用しており、中国のテンセントの傘下にあるWeChat やフェースブックが運用するWhatsAppより人気が高い。そうした外国のアプリに依存するのではなく、ベトナム独自のソーシャルメディアを広める方向をベトナム政府は打ち出した。「2022年を目標に国産のIT技術でソーシャルメディア市場の70%を押さえる」ことが決定。
今後ビジネスの主流に躍り出るに違いないネット販売の分野でも自国企業を支援する考えを鮮明に打ち出している。そのため、この分野では圧倒的なシェアーを誇る中国のJD.com ではベトナムのローカル企業のティキへの投資を決めたほどである。そうした中、ベトナム最大の民営企業であるビン・グループも新たな動きを見せ始めた。何かといえば、人工知能(AI)とソフトウェア開発を専門にする新会社を立ち上げるというのである。その名は「ビンテック」。
※続きは2月8日のメルマガ版「躍進中のベトナム:シンガポールを抜き上場企業資金調達額でアジアNO.1へ!(後編)」で。
著者:浜田和幸
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