2024年12月26日( 木 )

審査機関検査員による犯罪行為

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(協)建築構造調査機構 代表理事  仲盛 昭二 氏 

 不正が発覚したレオパレスの物件は、すべて 第三者機関(建築確認機関)による「中間検査」と「完了検査」の2回の検査に「合格」し、公的なお墨付きである「検査済証」が交付されているのです。連日の報道において、違法・不正を見抜けなかった検査体制に対する疑問や非難が声高に上がってこないのはなぜでしょうか? 

 「ずさんな検査に起因する見逃し」「不渡り手形を乱発しまくった検査員の過失」という切り口での報道は見受けられません。
これは、行政に対する「忖度」なのでしょうか? それとも、マスコミがあえてこの問題を避けているのでしょうか? 

 建築確認機関が交付する「検査済証」は、建物完了後に建築確認図面と現場の施工状況に食い違いがないかなどを検査員が調査し、適合していると判断された場合に発行されるものです。

 マスコミなどの報道で発言している建築専門家は、違反建築を見抜けなかった「検査員の過失」をなぜ論じないのでしょうか?

 界壁の必要性を知らない検査員などは存在せず、長年この問題が明らかにならなかったのは、検査員の怠慢検査がその元凶ともいえるからです。

 検査(中間検査・完了検査)自体は目視で確認するだけの簡単なものです。

 レオパレスの検査員たちがこの簡単な検査を省き、あるいは無視してきたとすれば検査の意味がありません。建築確認機関は、少なくとも「まっとうな検査」を行っていないわけですから 検査時に支払われた手数料は即刻全額払い戻されるべきです。

 レオパレス21のように数多くの建築を手がける事業者は同じ確認審査機関に「審査・検査」を依頼することが通例であり、そのような構図のなかで「確認審査機関との馴れ合い」の関係が生じ、検査体制が甘くなっていったのかも知れません。担当者が変わるなどした際に、建物の違反状態に気付いてはいたが、問題が表面化するのを恐れてズルズルと今日まで同様の過失を重ね続けてきたことも考えられます。

 この現象の背景には、「民間の建築確認審査機関」に審査・検査などの門戸が開かれたことにより、大半の審査物件は 民間の審査機関を積極的に利用されるようになったことがあります。

 また、民間の審査機関としては、過去の行政が認可した違法物件に対して勇気をもって積極的に軌道修正することができなかった経緯があるのかも知れません。いずれにしても今回のレオパレス21の違反建築問題は氷山の一角ではないかと思われます。ほかの事業者の建築物件についても、調査をすべきではないでしょうか。ずさんな検査体制が長年にわたり実施されてきた事実を鑑みるに、このような違法性のある建築物はレオパレス21に限ったものであるとは考えにくいからです。

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