グローバル市場で成長を続ける 国際物流事業パイオニアの強みとは(4)
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西日本鉄道(株) 国際物流事業本部
執行役員副本部長兼営業企画部長
黒飛 茂樹 氏現地の商習慣や文化を尊重したマネージメントを実施
―事業拡大に向けて積極的に海外企業のM&Aを進めておられます。海外拠点の人材の育成や海外環境への対応はいかがでしょうか。
黒飛 海外拠点で活躍する人材の育成については、毎年若手社員向けに1年間の海外研修を実施しています。若手社員は研修を通じて現地の業務を学んだ後に、マネージメント職として海外駐在を行います。海外駐在の準備としてマネージメント研修を充実させていますが、海外では日本と違った環境で部下をもつことになるため、マネージメントを行ううえでは難しいと感じる点もあります。なお海外拠点の現地化も促進しており、M&Aで設立した拠点では相手先企業のトップまたはサブトップが指揮を執り、既存の従業員とともに業務を行う方法で進めています。現在、国際物流事業本部の従業員数は約800名ですが、そのうち約700名が国内約60カ所の拠点で勤務し、約100名が海外で関連会社の従業員約2,000名とともに業務を行っています。海外拠点では、各国の商習慣と宗教を最大限リスペクトし、各国の文化や慣習に従う方針で進めています。なお安全面では、海外の情勢が変化して対応が必要になった時に即座に対策本部を立ち上げられるように、常に情報収集を行っています。
M&Aを強化し海外ネットワークを拡大
―2025年の国際物流部門の売上目標2,000億円に向けて、どのような方針を立てておられますか。
黒飛 これまでの国際物流事業で培った専門性を高めて貨物の取扱量を拡大することで、現在のフォワーダーの国内シェア拡大目指したいと考えています。さらに2025年目標として、世界35カ国・地域130都市の展開を掲げています。またM&Aを積極的に実施して海外拠点を増やし、海外顧客のシェアも同様に拡大を図っています。なお、M&Aでは18年に実施したニュージーランドやフランスの拠点など、各国で中規模の企業を中心に買収しています。M&Aの選択基準としては、現地の大企業の場合、既存の自社ネットワークと重複する可能性があるため、我々のネットワークにはないニッチな強みをもつ企業が望ましいと考えています。
弊社は、海外の地域としてはASEANに強みがあります。ASEANは西鉄グループとしてのシナジーを出せるため、引き続き注力します。一方、18年10月にフランスの現地企業を買収し、現地法人を設立しました。今後も欧州や南米に海外拠点を展開、候補としてイタリアと南米のブラジルを見込んでいます。また、アフリカはまだ拠点がない状況ですが、日本から直接進出するには課題が多いと考えています。そのため、19年1月に設立するアラブ首長国連邦のドバイと18年にM&Aで買収したフランスからの展開を図ることとしています。なお、新しい地域に進出する際には、事業の収益性も重視しています。
調達評価の活用と海外ネットワークの強化
―2019年はどのような展開を見込んでおられますか。
黒飛 本年は、西日本鉄道グループの第15次中期経営計画の初年度にあたります。そのため、スケールの面での貨物の取扱量の増加に注力します。仕入・調達を行うバックヤードと営業部門のコミュニケーションの強化を行いお客さまのニーズに合うサービスをご提案できるように努め、取引の拡大を図ります。さらに、M&Aを積極的に活用した海外現地法人の新設と既存の現地法人の拠点の拡大により、海外ネットワークの営業体制を強化して取扱量を増加させたいと考えています。
(了)
【文・構成:石井 ゆかり】関連キーワード
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