ICOの被害続出(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
暗号通貨のバブルが崩壊し、現在暗号通貨の価格は低迷している。ビットコインの価格は最高値の5分1の水準で形成され、投資熱もかなり沈静化している。その結果、資金調達の新しい手段として脚光を浴びていたICOは暗号通貨のバブル崩壊とともに、発行したコインが上場などに失敗し、トラブルが相次いでいる。ICOで資金を調達した後、姿を消したり、当初予定していた事業計画が実行されなかったり、ひどい場合には最初から事業推進が難しい、詐欺のような案件もあったりして、ICOの被害が続出している。
ブロックチェーン関連企業は2017年第四半期だけで13億ドル以上の資金をICOで集めることができた。ICOで調達した資金額は既存のベンチャーキャピタルからの投資額の5倍以上になるほど、ICOの人気は凄かった。このような状況下で、2017年のみで200件以上のICOプロジェクトが行われた。その当時、コインを発行する会社は、コインが将来上場したら、コインの価格は数十倍から数百倍になり、大きな利益が見込まれると宣伝していた。しかし、結果は暗号通貨の価格が暴落し、上場どころか、事業資金が底をつき、事業がとん挫している例が多く発生している。
ブロックチェーン技術は一般人には理解するのが難しく、それが本当に実現できる事業かどうかは専門家でない限り判断するのは難しいので、このようなことが起こっている。すなわちICOプロジェクトに投資をするということは、成功確率より失敗確率が大きかったわけだ。
世界的にみると韓国はブロックチェーン技術よりも暗号通貨の投資に関心があるとされている。韓国では世界的に通用するブロックチェーンの開発事例や専門家は数少ない反面、暗号通貨の熱気は尋常ではなかったからだ。その背景には韓国では国民のほとんどがスマホをもっていて、ITが進んでいることと、ネットワーク販売会社などが暗号通貨に飛びついて暗号通貨の販売、投資の募集などをしきりにやっていたことがある。しかし、ネットワーク販売会社の詐欺まがいの販売行為、ICOの推進など、異常な熱狂ぶりに急ブレーキをかけてきたのは韓国政府である。韓国政府は将来予見されるトラブルを未然に防ぐため、韓国でのICOを禁止したのである。だから、韓国企業はシンガポール、スイスなど、外国に会社を設立し、ICOを進めた。一方、韓国政府はブロックチェーンは将来有望な技術なので育成していきたいと言ったものの、暗号通貨のICOは禁止をした。
韓国のある調査会社の調べによると、今年の第1,2四半期中にとん挫することが予想されるICOプロジェクトは40件以上に上るという。実際に40社以上のプロジェクトが中止されることになれば、それはコインを購入した個人投資家の被害につながり、1年もたたないうちに1兆ウォンくらい投資金の損失が発生することを意味する。またあるリポートによると、直近の2年間で100億ウォン~2,000億ウォンの資金募集をした100件以上のICOプロジェクトのなかで、95%くらいは事実上、事業資金が底をつき、事業推進が困難な状況であることも明らかになり、衝撃が走っている。
(つづく)
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