レオパレス問題 検査機関と特定行政庁の罪(後)
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(協)建築構造調査機構 代表理事 仲盛 昭二 氏
素朴な疑問ですが「なぜ、大規模な引っ越しをしなければ補修ができないのか? 」引っ越しをしなくても補修は十分可能であると思います。以前は 特定行政庁が建築確認を行っていましたが、平成11年の建築基準法改正により民間に開放され、現在では 建築確認の大半が民間の指定確認検査機関に申請され、建築確認済証や検査後の検査済証が交付されています。指定確認検査機関は全国に相当な数が存在しており、審査や検査のレベルもまちまちです。
これら民間の指定確認検査機関は特定行政庁の監督下に置かれ、さらに、国の指導の下、適正な建築確認や検査が行われているものと多くの国民は思っていたはずです。しかし、ずさんな検査が続けられていたため、レオパレスのような不正な施工が見逃され続けてきました。
レオパレスオーナー会は、「大量の違法建築を見逃した国の責任は重大であり、何らかの救済が必要」として、国会での集中審議を求めました。レオパレスにおける不正な施工が、検査において発見できていれば、未然に防止できたはずです。「建築基準法違反」を見逃した検査が「検査」といえるのでしょうか?
建築主は検査手数料を支払い 検査を受けているのです。手数料を徴収しておきながら 検査で建築基準法違反を見逃していたのですから、詐欺行為に等しいといえます。前述のように、天井を叩けば二重か一重かの確認は可能であるし、天井内部の状態も点検口から確認でき、壁のなかの状態もコンセントを外し確認することができるのです。レオパレスの検査においては、検査員がこれらの確認作業を怠っていたのです。検査を行った指定確認検査機関は1社ではないはずなので、どの機関もずさんな検査を行っていたということです。
ずさんな検査を行い 検査の目的を果たさないまま、検査済証を交付していたことは、指定確認検査機関の罪はレオパレスと変わらないと言わざるを得ません。指定確認検査機関による ずさんな検査は、当然、レオパレス以外の建物においても同様であったと考えられるので、国交省はほかのアパート業者についても調査を開始することを決定しました。このような状況を招いたのは、特定行政庁や国交省が 指定確認検査機関に対する監督を怠っていたからであり、レオパレスオーナー会が「国にも責任がある」として国会での集中審議を求めたことは納得できます。
今回の不正な施工以外について、レオパレスオーナーが2件の訴訟を提訴しています。1つは129 名のオーナーが提訴した「家具・家電総合メンテナンス」に関する集団訴訟。もう1つは サブリース契約に反する「家賃減額」に関する訴訟です。この2つの訴訟の内容を見れば、レオパレスがオーナーを食い物にしていたことがよくわかります。このようなレオパレスの実態を国が放置していたうえに、指定確認検査機関や特定行政庁が ずさんな検査で検査済証をどんどん交付して後押ししていた事実については、今後、国会で深く審議してほしいと思います。
私はレオパレス21 の肩をもつ気持ちは毛頭ありません。レオパレスの前社長自らが不正を指示していたということですから 言い逃れできるものではありません。レオパレス21 は誠意をもってオーナーに対応すべきです。
レオパレス問題に関する報道を見る限り、指定確認検査機関や特定行政庁が責任を感じているという姿は見えません。多くの建築関係法規違反の事例において、直接関与した業者だけが罰せられ、監督を怠り、検査体制の不備を放置していた行政が責任を取った事例はありません。それゆえに、同様の事件が続き、今回のレオパレス問題の発覚に至ったのです。
(了)
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