間近に迫る2030年の世界:『未来の衝撃』アルビン・トフラーの遺言(後編)
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」から、一部を抜粋して紹介する。今回は、2019年3月30日付の記事を紹介する。
トフラー氏の名を世界に刻みつけた『未来の衝撃』は発表されてから既に半世紀近くもの時間を経ている。今読み返してみると、彼の予見能力の精度を図ることができ、トフラー夫妻が驚くべき正確さで未来を見通していたことには改めて驚かされる。
同書の中でトフラー氏は「核家族の崩壊、遺伝子革命、使い捨て社会、教育の最重性、社会やビジネスにおける知識の重要性の拡大」を見事に予測していた。特に注目すべきは「一時性」という価値観である。急速に変化する情報化社会ではモノに対してのみならず人間関係においても、そうした傾向が増大するのが未来社会の特徴だと看破。
「この一時性の連続によって、すべての分野において“使い捨て”傾向が加速する」との指摘にはうなずかされる。結婚しかり、家族しかり、はたまた職場や生活の場所、そして身の回りのあらゆる商品にも当てはまるというわけだ。
それらがもたらすストレスの増加は人間の肉体的、精神的苦痛をもたらし、社会の不安定化を増す。こうした変化を乗り越えるには経済的な対策では不十分であり、社会学、心理学、医学、生物学など関連領域を総動員する必要があることにも言及。また、「マス・マーケティングがニッチ・マーケティングやミクロ・マーケティングに道を譲り、大量生産が時と共にカスタム生産に取って代わられ、大企業が小さな自律的単位に分かれる」という時代の変化にも鋭い目を向けていた。
さらには、政治や国家という概念でさえ、諸般の事情に精通するようになった個人の意識の高まりと、果てしないほどの情報技術の発展によってもたらされる「非大量化」の波にさらされるだろう、とトフラー氏は考えていた。そうした未来展望はことごとく的中しているといっても過言ではない。
ところで1970年代に一世を風靡した『未来の衝撃』は大ベストセラーとなり、全世界で3,000万部も売れたという。その中で提唱されていた「社会的未来主義」には筆者自身も大いに感銘を受けた。2019年を迎えた今、改めて読み返しても、その発想の斬新さや先見性の素晴らしさには驚かされる。
個人でも組織でも先を読むだけでは足らず、「先の先を読む」必要が常にあるわけだ。要は、情報といっても、「未来に生きる情報」と「過去を確認する情報」とを区別しなくてはならない。そんな時代の流れの中で、情報の意味をチェックしなければ、21世紀の情報戦士にはなれない。そのことを改めて再確認させてくれるのが『未来の衝撃』である。
※続きは3月30日のメルマガ版「間近に迫る2030年の世界:『未来の衝撃』アルビン・トフラーの遺言(後編)」で。
著者:浜田和幸
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