商号復活の「日本製鉄」~昔の夢を取り返せるか(中)
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新日鐵住金は今年4月に商号変更し、「日本製鉄」(にっぽんせいてつ)となった。官営の八幡製鐵所が1934年に民間5社と合併し、民営企業の日本製鐵 (にほんせいてつ)株式會社が発足。
戦後の1950年、財閥解体を受けて八幡製鐵・富士製鐵・日鐵汽船・播磨耐火煉瓦に分割され、日本製鐵の名は16年で消えた。
20年後の1970年に八幡製鐵と富士製鐵が合併して新日本製鐵となった。その後もM&Aを繰り返し、2012年10月に住友金属工業を吸収合併し、世界第3位の鉄鋼メーカーとなった。
昨年まで日本の高炉メーカーは新日鐵住金、JFEホールディングス、神戸製鋼所、日新製鋼の4社だったが、日新製鋼が2019年1月1日付で新日鐵住金の系列会社から完全子会社となったため、3社となった。
【表2】を見ていただきたい。高炉メーカー3社の経営成績表である。
~この表から見えるもの~
18年3月期の売上高を見ると、新日鐵住金は前期比+10,358億円の5兆6,686億円(22.4%増)。JFEHDは、前期比+3,697億円の3兆6,786億円(11.2%増)。神戸製鋼所は、前期比+1,853億円の1兆8,811億円(10.9%増)。
・新日鐵住金の1兆円を超える増加額は、系列会社だった日新製鋼の売上が含まれているが、JFEHDと神戸製鋼所を合わせた増加額は5,550億円で、新日鐵住金のほぼ半分の増加額となっているのが目に付く。
18年3月期の当期純利益を見ると、新日鐵住金は前期比+641億円の1,950億円(49.0%増)となっている。
・JFEHDの当期純利益は、前期比+767億円の1,446億円(113.0%増)と大きく増加させている。
・神戸製鋼所の当期純利益は、品質データ改ざんの問題の影響を受けて前期は▲230億円だったが、631億円と黒字に転換している。
19年3月期(通期)の予想を見ると新日鐵住金は当初売上高を6兆3,000億円としていたが、和歌山製鉄所の高炉トラブルや大分製鉄所の歩とどまり低下を受け1,000億円減額して、前期比+5,314億円の6兆2,000億円(9.4%増)。当期純利益も2,400億円から100億円減額して2,300億円(17.9%増)。シェアは前年の48.4%から54.1%となり、5割を大きく超える予想となっている。
・JFEHDの売上高は前期比+2,214億円の3兆9,000億円(6.0%増)。当期純利益は前期比+154億円の1,600億円(10.7%増)となっており、シェアは前期の35.9%から37.7%を見込んでいる。
・神戸製鋼所の売上高は前期比+1,089億円の1兆9,900億円(5.8増)。当期純利益は前期比▲281億円の350億円(▲44.5%)と大きく減益予想となっており、品質データ改ざんの問題の影響は収益に大きな影響を与えている。神戸製鋼所の今後の収益状況が、高炉メーカーの経営再編の鍵を握ることになりそうだ。
(つづく)
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