2024年12月26日( 木 )

【スーパーマーケット・トレードショー】加速する変革への対応 SMが抱える課題を解消する商材続々と(4)

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食用昆虫など新アイテムも登場

 2回目となる今回の実証実験は、19年2〜3月に行うが、前回の実証実験について、ここで振り返っておこう。

 「食と健康」による市場創造を目指し、JACDSは昨年11月、12月の2カ月間、横浜市港北区のDgS2店舗(フィットケア・エキスプレスセンター南店、ハックドラッグ港北東急SC店)の協力を得て、実証実験ならびに研究を実施した。研究で得たデータを踏まえて、2回目の実証実験を規模拡大して行う。「新しいカテゴリーに新しい市場が創造される」といわれるが、これは市場創造の大原則でもある。

 「食と健康」実証実験の基本的な考え方は、DgSが「食と健康」相談で、医薬品との相互作用まで含めて対応できる「地域の健康プラットフォーム」を目指そうというもの。SMやコンビニではできないDgSだからこそできる新機能をもち、「毎日のバランスの良い食事が基本」をベースに、不足する栄養素の摂取など、健康意識を高めるアドバイスを管理栄養士が行う。

 「食と健康」実証実験は、19年3月に行う「第20回JAPANドラッグストアショー」との連携で行うもので、展示会場では、「食と運動に関する測定」と「健康相談」の実施、「食と健康」の棚割り提案などを紹介する。「食と健康」のブースでは、日本栄養士会、栄養大学と連携して、管理栄養士によるアドバイスも実施する計画だ。

 有職主婦の増加などで簡便調理ニーズが高まっている。富永貿易(株)は、時短で手軽においしいパスタ料理がつくれるよう、通常よりも早くゆであがる茹で時間2分の「ラティーノ エクスプレス 早ゆでスパゲッティ」を昨年10月に発売した。太さは1.65mmで、スパゲッティを成型するときの型を開発、表面に凸凹を入れ、水車のようなかたちにすることで、湯にあたる表面積を増やし、芯まで早く熱が浸透し早くゆであがる。

 新たな流行をつくり出そうとするアイテムもある。台湾の台湾茶葉専門店「茶工廠」。茶葉のうまみを最大限に閉じ込める製法を実現し、高級茶葉の生産地南投県のもの使用した茶葉を売り込む。3月には東京・自由が丘に台湾茶のショップをオープンした。

 (株)ブルボンは、昨年3月、「のせて」「巻いて」「包んで」「型を抜いて」など、さまざまな料理に使ってもらうマヨネーズ風味シート「スライスキッチンシリーズ」を発売した。

 熊本に食用昆虫の自販機が登場し話題になったのが食用昆虫。ヴィレッジヴァンガードのネット通販でも売られている。タイから商品を輸入したサソリ、カブトムシ、タガメ、コオロギ、バッタなどを展示したブースも登場した。

変わり続けることが新たな市場開拓に

 食の安全・安心にもスポットを当て、まだまだ可能性のある海外食材の活用、日本の酒、新商品などをテーマにした特集展示も行った。

 生活者の安全・安心に対する意識は格段に高まり、国際基準であるHACCPの義務化の流れのなかで、SMにもさらなる取り組みが求められている。そこで、「食の安心・安全対策コーナー」を設け、青果、鮮魚、精肉、惣菜での情報提供を行った。

 「世界の食材でつくるウチメシ」コーナーでは、日本であまり知られていない海外食材を、家庭の普段の料理で活用する方法を紹介し、レシピ動画やシェフによる調理実演も行われて、来場者に提案した。

 「てづくりNIPPON」では、日本の伝統・伝承を重んじ、地域や質にこだわったつくり手の技や想いを、地域の食生活や食文化、歴史を絡めて提案しているが、今回は、品質が向上しいま注目されている日本ワインを始め、各地の日本酒、焼酎を紹介した。

 食の流通シーンは毎年、夥しい新商品が登場する。しかし大半の商品は日の目を見ずに消えていき、そのなかから生き残ったものが定番となりロングセラーとなる。今年はカルピスが100周年、モランボンの焼肉のタレ「ジャン」が40周年を迎えた。カルピスは時代に応じて薄めて使うからそのまま飲むへ、ジャンも今年、生ダレを発売し、新たに焼肉のタレの鮮度を提案する。自ら変わることで新たな市場を開拓する。

 商品も店舗も時代の変化に対応し進化していく。SMが誕生して60年以上が経過、社会、経済、技術が曲がり角を迎えているなか、新たな役割が問われている。

(了)
【取材・文・構成:西川 立一】

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