『東アジア友愛フォーラム』~「一帯一路」構想が「友愛」理念で新結合!(前)
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4月9日(火)午前10時から午後4時30分まで『東アジア友愛フォーラム』(共催:東アジア共同体研究所、北京師範大学一帯一路学院、一帯一路陝西友愛研究所、東アジア総合研究所)が永田町の星稜会館ホールにおいて開催された。会場は満席、約450名の有識者、社会人、学生などであふれた。
鳩山友紀夫・大会名誉実行委員長(東アジア共同体研究所理事長、元内閣総理大臣)は挨拶のなかで、昨年12月に訪中して中国の習近平主席と会談した際「友愛の理念(論語における「仁」と「恕」)に基づいて、一帯一路構想を進めていただきたい」と提案、習近平主席の快諾が得られたことを披露した。
<当日のプログラムは午前も午後も実に盛りだくさんだった>
定刻の午前10時に芳賀大輔・東アジア共同体研究所事務局長の総合司会で始まった『東アジア友愛フォーラム~一帯一路と運命共同体構築を目指して』のプログラムは午前も午後も実に盛りだくさんだった。
午前中は、中川十郎・大会実行委員長(日本ビジネスインテリジェンス協会会長)、鳩山友紀夫・大会名誉実行委員長(東アジア共同体研究所理事長)に続き、劉鋒・一帯一路陝西友愛研究所所長、姜英之・東アジア総合研究所理事長、酒井正三郎・中央大学総長、潘慶林・前中国全国政教委員の来賓4人が挨拶をした。来賓挨拶の後は、胡必亮・北京師範大学一帯一路学院執行院長、朴貞東・仁川大学前中国研究所所長、高野孟・東アジア共同体研究所理事・特別研究員3人の講演が続いた。
<GDP総計は米国に匹敵し、長年の友好交流の歴史がある>
中川実行委員長は挨拶のなかで「日中韓のGDP総計は米国に匹敵する経済圏となりつつあり、今まさにアジア繁栄の時代が到来しつつある」と述べ、また「日中韓は古来、中国の隋・唐、韓国の百済・新羅・高句麗など、長年の友好交流の歴史がある」ことにも触れ、「友愛の精神で、日中韓が相互協力して、アジア、世界の発展と平和構築に貢献すべき」と結んだ。
<1番の目的は「経済」の拡大ではなく、「平和」の構築>
鳩山名誉実行委員長は「東アジアの諸国、とくに日中韓は強い信頼関係を結び、仲良くならなければいけない」との持論を展開した。昨年3月に北京師範大学一帯一路学院を訪問、胡必亮院長と意気投合、東アジア共同体研究所に「日中一帯一路共同研究所」の名前が付加されたこと、11月には陝西省を訪問、刘国中省長との間で「一帯一路陝西友愛研究所」を設立したことを報告した。
また、東アジアを1つの共同体にする1番の目的は「経済」の拡大ではなく「平和」の構築であることを強調、このことは第1回「一帯一路」国際協力サミットフォーラム(2017年北京)における習近平主席の発言とも一致することを付け加えた。
最後に「米国は日中韓が仲良くなりすぎると、出番がなくなるので、脅威に感じています。しかし、東アジア共同体構想は米国をはじめ他国を排除するものではありません」と明言、そのうえで、現在のあまりにも対米依存・従属にある安倍政権の外交政策に警鐘を鳴らした。
<申請書類だけで、トラック1台分の難しく、厳しい条件>
胡必亮・北京師範大学一帯一路学院執行院長は「なぜAIIB(アジアインフラ投資銀行)が必要なのか、なぜ一帯一路構想が重要なのか」を個人的な見解と銘打ちながらも、世界銀行時代の経験を踏まえて、次のように易しく解説した。
現在の中国の発展があるのは、世界銀行や日本のODAのおかげです。今中国は発展途上国を援助できる立場になり、中国の資本を世界の成長のために使いたいと考えています。
発展途上国が離陸するためには、まずインフラの整備が必要で、そのことによって貿易も促進されます。しかし、世界銀行やIMFの提供する公共財は限定的なもので、また難しく、厳しい条件があります。そこで、現実的には、本当に困っている国はその基準を越えることができません。たとえば、1年以上のトレーニング期間があり、申請書類だけでトラック1台分になります。そこで、貧しい国が迅速に融資を受けられるようにAIIBがあります。そして、そのような貧しい国は一帯一路の沿線に多いのです。一帯一路に関するインフラ投資は必ず世界経済のGDPに貢献すると考えます。(一部抜粋)
中国は近年、国連(2018年に日本を超えて世界第2位の拠出金国となった)やIMFへの拠出金を増額している。
【一帯一路】
2013年に中国の習近平国家主席が提唱した経済圏構想。中国西部と中央アジア・欧州を結ぶ「シルクロード経済帯」(一帯)と、中国沿岸部と東南アジア・インド・アラビア半島・アフリカ東を結ぶ「21世紀海上シルクロード」(一路)の2つの地域でインフラ整備および経済・貿易関係を促進する。この経済圏に含まれる国は約60カ国、その総人口は約45億人で、世界の約6割に相当する。
【友愛】友愛とはEUの父と讃えられるクーデンホフ・カレルギーの言葉でフランス革命のスローガン「自由・平等・博愛」の博愛を意味する。革命の旗印ともなった戦闘的な理念である。鳩山一郎 元内閣総理大臣はこれを「相互尊重、相互理解、相互扶助」と表現し、鳩山友紀夫氏は「自立と共生」と表現する。グローバル化する現代資本主義の行き過ぎを正し、伝統のなかで培われてきた国民経済との調整を目指す理念である。市場至上主義から国民の生活や安全を守る政策に転換し、共生の経済社会を建設することを目指している。
(つづく)
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