【パチンカー代の『釘読み』】お上のギャンブル依存症対策に今さら感
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政府は、19日、「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」を閣議決定した。カジノを含む統合型リゾート(以下、IR)の整備を前に、ギャンブル等依存症対策を強化する目的がある。同基本計画案に対しては、3月7日から国民から広く意見募集を行うほか、有識者らとの意見交換などを実施していた。
「今さら感のある要求」
パチンコ業界に対しては、ホール内における「ATM等の撤去」、ホールへの入店を制限可能な「自己申告・家族申告プログラム」の周知徹底などが求められた。しかし、ホール運営業者はすでにこれらの対応を自主的に進めており、今回の要求に関しては「今さら感」が否めない。
ATMに関しては、撤去済のホール、そもそも設置していないホールがある。また、設置していても「月の利用限度額が3万円」に設定されているものも多い。仮に、全国のホール内からATMが撤去されたとしても、打ちたい人は近くの銀行やコンビニ、そのほかの商業施設に設置されたATMを利用するだろう。
自己申告・家族申告プログラムに関しては、全国でパチンコホール「ダイナム」を400店舗以上展開する(株)ダイナムが、2017年7月から導入を開始。18年10月31日で全店舗への導入を完了している。事前に決定した「1日の遊技金額」・「1カ月の来店回数」・「1日の遊技時間」を超えた場合、店舗スタッフが対象となる顧客、またはその家族に知らせるという仕組みだ((株)マルハンは19年4月1日、全店舗に導入完了)。
ただ、同プログラムの利用を顧客に強制することはできない。ホール側にできるのは、顧客側から申し込みがあった場合、それに対応するということだけだ。各ホールが同プログラムの周知徹底に尽力したとしても、ホールに通う顧客、またはその家族にプログラムを利用する意思がなければ、意味をなさない。
「画一化される趣味」
今回の「ギャンブル等依存症対策推進基本計画」では、パチンコのほかにも「競馬」・「競輪」・「モーターボート」などの「公営ギャンブル」に対しても要求が出された。主な内容はパチンコのそれと変わらないものだ。
同基本計画案に対して寄せられた国民からの意見には「宝くじやカジノについても規制対象に加えるべき」という声や、FXや暗号通貨、スマートフォンの課金ゲームに対する記載がないことを疑問視する声が散見されたが、これらの意見が加味されることはなかった。
そもそも、「依存症」という括りでいうならば、酒やたばこ、買い物なども当てはまる。ある業種・業界を狙い撃つ規制強化は、個人の選択肢を狭めることにもつながりかねない。
先述の通り、パチンコ業界に関しては早い段階で依存症対策を進めており、今回の要求は遅きに失した感が否めない。単なる「業界いじめ」と言われても仕方がないだろう。
【参照】
日本中央競馬会平成29事業年度決算等に関する広告
一般社団法人全国モーターボート競走施行者協議会平成29年度公表データ
経済産業省「競輪・オートレースを巡る最近の状況について」(データは平成29年度分)
「レジャー白書2018」(データは平成29年分)【代 源太朗】
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