2024年11月25日( 月 )

上場企業が集中する福岡市の魅力を検証する(3)

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 【表1】を見ていただきたい。九州・沖縄8県の上場企業および順位表である。

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〜この表から見えるもの~

 九州・沖縄8県に本社がある上場企業は116社となっている。

 ・第1位は福岡県で上場企業は81社。全体の約70%を占めている。内訳を見ると福証単独上場は12社で、東証などとの重複上場を合わせると42社。新興市場のQ-Boardに上場している7社(うち単独3社)を加えると、福証上場企業は49社となる。残り32社は東証に単独上場しており、福証が苦戦しているのが読み取れる。

 ・2位は鹿児島県で上場企業は9社。Q-Boardの上場はなく、福証5社と東証4社となっている。

 ・3位は大分県で上場企業は7社。7社とも福証に上場(うち2社は東証と重複上場)しており、福岡県と大分県の地域的・経済的なつながりの深さが読み取れる。

 ・4位は熊本県で6社(福証3・東証3) 。以下、5位は沖縄県で5社(福証3・東証2)。6位は同数の4社で、佐賀県(福証2・東証2)、宮崎県(福証3・東証1)となっている。

 ・最下位は長崎県でゼロとなっている。長崎県で唯一上場していた十八銀行がふくおかFGと経営統合するため、今年3月27日に上場を廃止。そのため、長崎県は九州圏では唯一、上場企業の本社がない県となっている。

【表2】を見ていただきたい。

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〜この表から見えるもの〜

 福岡証券取引所の上場形式基準の概要である。

 ・福証は東証など他の証券市場と同様に、上場する企業について制限はないが、新興市場の福岡Q-Boardは「九州周辺に本店を有する企業または九州周辺における事業実績・計画を有する企業」と限定している。

 ・福証(上場時見込み)の株主は300人以上、Q-Boardは200人以上としており、時価総額について福証は10億円以上、Q-Boardは3億円以上としている。

 売上高について福証は問わないが、Q-Boardは成長可能事業の売上高が計上されていることとしているが、事業継続年数で「福証は3年以前から、Q-Boardは1年以前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること」を求めている。

 ・また純資産の額についても、福証は連結純資産の額は3億円以上で、かつ単体純資産の額がプラスであること。Q-Boardは連結・単体純資産の額がともに正(プラス)であることを求めている。

 Q-Boardの上場は福証と比較してやや緩やかではあるものの、いざ上場するとなれば、規模の問題だけで厳しい上場条件に変わりはないようだ。

 【表3】を見ていただきたい。

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〜この表から見えるもの〜


 Q-Board上場企業は19年3月末現在16社となっている。九州周辺の企業でいえば山口県も入れると14社となる。九州周辺における事業実績・計画を有する企業は大阪府、東京都に本店がある2社となっている。

 不動産業を営むトラストホールディング(福岡市中央区)は2013年7月1日の設立と同時に、東証マザーズとQ-Boardに上場している。また保育所や企業内保育所を経営するテノ.ホールディングス(福岡市博多区)も設立からわずか3年で東証マザーズとQ-Boardに上場している。はたして、それに続く企業の上場はあるのだろうか。

(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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